静岡県が、富士山に登山する人に対し、登山計画書(登山届)の提出義務付けを検討していることが17日、分かった。

条例制定に向けて今後詳細を詰めるが、対象期間は、閉山中を想定しているという。県では今後、県警や富士山の地元市町などと協議する方針だ。

 夏場の開山期(7〜9月)は、登山道は県側は3ルートに限られ、登山客も多いために遭難者を早期に発見できる。一方、閉山期間中、県は、登山道の通行を道路法によって禁じている。

 にもかかわらず、冬場でも登山道以外の通行は禁じられていないため、「黙認」されている状態だった。県警によると、2016年の閉山期に、富士山の静岡県側では15人が遭難し、うち3人が死亡していた。

 登山計画書の提出が義務化されれば、事前に、県警などが装備や行程をチェックし、適切な指導も可能になる。遭難した場合の人定も容易になる。「安易な登山も防ぐことができるようになるのでは」と県の担当者は説明する。

 富士山を含めた県内の山を対象に、県警本部に任意で提出された計画書は、昨年1209件だった。山岳遭難救助隊長などがそのほとんどに目を通しているという。不備があれば、提出者に対し、電話などでの指導も行っている。

 県は検討に入ったばかりだが、課題もある。閉山中に登山道の通行を禁じながら、計画書の提出を義務づけるのは、整合性がとれないという指摘も出ている。県では、関係機関との協議を踏まえて、条例化の可否も含めて慎重に検討する。

 山梨県では、登山計画書の提出を義務づける条例を9月定例県議会で可決した。届け出を必須化する条件として、厳冬期(12〜3月)の富士山の8合目(標高3200メートル)以上や南アルプスなどの山を対象とすることを検討している。

2017年10月18日 16時04分
YOMIURI ONLINE
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