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10月27日 5時29分

「神戸製鋼所」は検査データの改ざん問題で、工業製品の安全性を示すJIS=日本工業規格の認証機関から一部の製品の認証を取り消されたと発表しました。経済産業省は、認証機関に対し、グループのほかの工場などでも立ち入り検査を検討するよう指示していて、認証の取り消しがさらに広がる可能性もあります。

神戸製鋼は26日、企業の生産設備をつくる機械事業や子会社などで、検査データの改ざんや、必要な回数の検査を行わないなど、4件の不正が新たに見つかったと発表しました。

さらに、JISの認証機関から法令違反を認定され、神奈川県秦野市にある子会社が生産した一部の銅製品が認証を取り消されたことを明らかにしました。
この工場では、実際には、JISの水準を下回っているにもかかわらず、水準に達しているようにデータを改ざんしていたということです。

経済産業省は、認証機関に対し、JISの認証を受けている神戸製鋼のグループのほかの19の工場と事業所でも立ち入り検査を検討するよう指示しています。

JISの認証は製品の安全性や生産現場の品質管理の体制にいわばお墨付きを与えるもので、取り引きの条件とする企業もあります。

検査の結果、法令違反の事例が認められれば、認証の取り消しがさらに広がる可能性もあり、顧客離れの加速などで、問題が一段と深刻化することも予想されます。

神戸製鋼次々に明らかになる不正

「神戸製鋼所」の検査データの改ざん問題が最初に発覚したのは、今月8日でした。

神戸製鋼は記者会見を開き、アルミ製品や銅製品の一部について、強度などの検査証明書のデータを改ざんして出荷していたと発表しました。問題の製品の出荷先はおよそ200社。自動車や航空機などにも使われていました。改ざんが少なくとも10年ほど前から行われていたことも明らかになりました。

3日後の11日には、新たに、自動車などの部品の材料になる「鉄粉」のデータも改ざんしていたほか、グループ会社でも検査の改ざんが行われていたことが判明しました。

この問題を受けて、翌日の12日には、川崎博也社長が経済産業省を訪れて陳謝。川崎社長は「神戸製鋼の信頼度はゼロに落ちた」と述べました。その翌日の13日、今度は、グループの9社で特殊鋼などの製品で、改ざんなどがあったことを発表。問題の製品の出荷先は、国内外のおよそ500社に拡大しました。

出荷先に海外の自動車メーカーなども含まれていたことから、問題は海外にも飛び火します。アメリカの司法省は16日、神戸製鋼に対し、一連の問題に関する資料の提出を求めたのに続き、ヨーロッパ航空安全局が17日、安全性が確認されるまで神戸製鋼所の製品を使用しないよう航空会社などに勧告しました。

不正の発覚はさらに続きます。20日には、山口県の工場で不正の隠蔽が発覚。子会社の工場がJIS=日本工業規格の認証機関から立ち入り検査を受けました。

そして、26日、新たに企業の生産設備をつくる機械事業や子会社などで、4件の不正が明らかになったと発表。子会社の工場で生産している銅製品の一部がJISの認証機関から認証を取り消されたことも明らかにしました。

川崎社長は「これほど広範囲で不正が見つかるとは私の想像をはるかに超えている」と述べました。