神戸市東灘区の市営住宅で、神戸地裁から異臭による迷惑行為で強制退去処分を受けた40代女性が猫53匹を放置していた問題で、神戸市が女性に対し部屋の修繕費の全額となる約1千万円を請求する方針であることが7日分かった。8日にも女性に宛てて請求文書を発送する。迷惑行為による住宅の明け渡しで費用を全額請求するのは珍しい。

 市は当初、一部費用の請求を検討していたが、女性が再三にわたる市の改善指導に応じなかったなどの悪質性から、異例の全額請求に踏み切ることを決めた。

 女性が住んでいたのは、同区魚崎南町の市営住宅3階の一室。市は畳や床板の交換などの修繕費約670万円や、消臭・消毒にかかる約260万円などを請求する。すでに3DK(約60平方メートル)の部屋から大型トラック1台分の猫の糞尿を撤去したが、消臭作業にも1〜2年かかる見通しだ。

 関係者によると、女性は平成18年に入居し、子供3人と暮らしていた。入居から数年後に拾ってきた猫数匹を飼い始めたが、大量に繁殖した猫の飼育ができなくなり、22年ごろに別の場所に移ったとみられる。女性は毎日、早朝にこの部屋を訪れ、猫に餌と水を与えていたという。

 市は昨年10月、部屋の明け渡しを求めて神戸地裁に提訴。今年1月に市の主張を認めた判決が確定し、4月に強制執行に踏み切っていた。

http://www.sankei.com/smp/west/news/171108/wst1711080011-s1.html
部屋にいた猫
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強制執行後の部屋
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