会計検査院は8日、2016年度の決算検査報告書を安倍晋三首相に提出した。税金の無駄遣いなどの指摘金額は874億円で、10年ぶりに1000億円を下回った。指摘件数は前年度より32件少ない423件。このうち法令違反などの「不当事項」は333件、計137億円だった。
 指摘金額は、前年度より1兆1315億円減。前年度は1件で1兆964億円を占める案件があったが、今回は大型案件が少なかった。
 
省庁別の指摘金額は、国土交通省が384億円で最も多く、農林水産省157億円、厚生労働省80億円が続いた。厚労省は指摘件数が135件と最多だった。
 1件の指摘金額が最大だったのは、国交省が道路や河川の公共工事などを実施する自治体に支出する社会資本整備総合交付金に関する案件。価格以外の要素も評価する「総合評価落札方式」では、一定額を下回る価格での入札者を無条件で失格にする制度は法令で適用できないのに、15〜16年度に交付金を受けて23自治体が実施した工事の請負契約640件で適用し、最も有利な条件だった入札者が失格になっていた。これらへの交付金支出額269億円を指摘金額とした。
 
東日本大震災関連では、被災地の企業への過大な補助金交付、操業していない企業が書類を偽造して補助金を受け取った問題などを指摘した。
 参院が3月に検査を要請した「森友学園」(大阪市)への国有地売却についての結果は、今回の報告書には盛り込まれておらず、早ければ年内にも公表される見通し。

配信(2017/11/08-14:52)
時事ドットコム
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