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11月9日 22時29分

群馬県上野村でヘリコプターが墜落して炎上し、4人が死亡した事故で、機体の後部にあるプロペラを回す「テールローター」という部品が機体から外れて現場近くで見つかっていたことが、国の運輸安全委員会の調査でわかりました。墜落の直前に部品が脱落したという目撃証言もあり、運輸安全委員会は、部品の破損が事故につながったのかどうか調べています。

8日午後2時半ごろ、群馬県上野村でヘリコプターが墜落して炎上し、乗っていた4人が死亡しました。

警察は、ヘリコプターを運航していた「東邦航空」の機長の北川一郎さん(60)といずれも整備士の杉山勝彦さん(50)、瀧澤俊太さん(27)、池田裕太さん(22)と見て確認を進めています。

9日、警察や国の運輸安全委員会が現場での検証や事故調査を行いましたが、運輸安全委員会によりますと、墜落現場から数十メートル南東の川の対岸で、機体の後部にあるプロペラを回す「テールローター」と呼ばれる部品が、機体から外れて見つかっていたことがわかりました。

また、事故を目撃した複数の住民は、墜落の前に低空飛行していた機体から部品が脱落して飛び散るのを見たなどと証言していて、運輸安全委員会は、テールローターがいつの時点で破損したのかや、事故につながったのかどうか調べています。

テールローターとは

ヘリコプターのテールローターは、機体の後部にある羽根のついた部品です。メインローターと呼ばれる機体の上の羽根を回転させると、機体が羽根とは逆方向に回転してしまうため、テールローターが、機体の回転を打ち消し姿勢を保つ役割を担っています。
事故調査官 テールローター「今後よく分析したい」
国の運輸安全委員会の奥山克也航空事故調査官が9日の調査を終えたあと、取材に応じました。
奥山調査官は、ヘリコプターのテールローターが機体から外れて見つかった状況について「ちぎれた状態で川に落ちていた。着陸前に落ちたのか、後なのかははっきり言える状況ではない」としたうえで、「今後、破断面などをよく分析したい」と述べました。

9日の調査では、機体の残骸について散乱状況などを把握したうえで、一部を調べたということで、10日も現場周辺で調査を行うほか、目撃証言の聞き取りなども行うことにしています。

ヘリ 本来の飛行ルートは

ヘリコプターの運航会社「東邦航空」によりますと、本来の飛行ルートは、山梨県早川町にあるヘリポートを離陸して北東の方角にある栃木県芳賀町の栃木ヘリポートに向かうおよそ200キロのルートでした。会社によりますと、パイロットは目視で周囲の状況を確認しながら飛行していて、山梨と埼玉の県境にある高い山を避けるため、北側の群馬県寄りのルートを選んだ可能性があるということです。

目撃者が墜落直前のヘリ撮影

墜落直前のヘリコプターを撮影した現場近くに住む40代の男性は、機体が異常に大きな音をたてながら飛行していたと証言しました。

群馬県上野村のヘリコプターの墜落現場の近くに住む40代の男性は、自宅前の上空を異常に大きな音をたてながら飛行するヘリコプターに気付き、とっさにタブレット型コンピューターのカメラで撮影したということです。この画像では、機体上部の「メインローター」と呼ばれるプロペラや、後部の「テールローター」と呼ばれるプロペラなど、機体に異常はないように見えると、男性は話しています。

男性によりますと、撮影後、ヘリコプターはゆっくりと右に旋回して西のほうに飛行し、急速に高度が下がっていったあと、見えなくなったということです。男性は、不安を覚えてヘリコプターが飛んだ方向に走って行ったところ、「バーン」という大きな音が聞こえて黒煙が上がり、墜落したとわかったということです。

男性は「目の前で起きたことが信じられませんでした。乗っていた人を助けたいと思いましたが、機体が炎に包まれていて、助けられませんでした」と涙ながらに話していました。

乗務員の家族が現場を訪れる

9日午後4時半すぎ、乗務員の家族数人が初めて現場を訪れました。そして、事故調査が続けられている青いシートの内側に花を持って入り、10分ほどで現場を離れました。