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11月10日 4時16分

体のさまざまな組織に変化するES細胞を使って、マウスの胎児の腎臓の組織を再現することに熊本大学の研究グループが成功したと発表し、重い腎臓病の患者に対する再生医療につながる可能性がある技術として注目されています。
熊本大学の西中村隆一教授らのグループは、マウスのES細胞から、血液をろ過して尿を作る機能をもつ「ネフロン」と呼ばれる組織の元となる細胞を作りだしていますが、今回さらに、尿を排出する管になる「尿管芽」と呼ばれる細胞を作ることに成功しました。

グループは、この2つの細胞を混ぜ、さらにマウスの胎児から取り出した細胞どうしを結びつける細胞を加えておよそ1週間培養したところ、細胞が組み合わさって直径1ミリ、厚さ数百マイクロほどの円盤状のマウスの胎児の腎臓の組織を再現することにも成功したということです。

今後、グループでは、胎児の腎臓の組織がさらに成長する過程を調べるとともに、ヒトのiPS細胞でも実験を行い、血液をろ過する機能があるか検証することにしています。

グループによりますと、重い腎臓病で人工透析の治療を受けている患者は国内に30万人余りいて、将来、こうした患者を対象にした再生医療につながる可能性がある技術として期待されています。
西中村教授は「移植のためのドナーが不足する中、ヒトの腎臓を作ることができれば、多くの患者を救える」と話しています。