https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171110-00010001-agrinews-soci

コンビニやスーパーがおにぎりの値上げに動いている。これまで中食などの
業務筋は米商品の売価改定には慎重だったが、米の取引価格上昇などに対応した。
年末には価格を一段上げた2017年産業務用米への切り替え期を迎え、
「店頭価格の値上げが加速する」(都内米卸)との見方が広がる。 

大手コンビニのローソンは10月末、全国約1万2700店でおにぎり商品の一部で値上げに
踏み切った。販売量が最も多い「シーチキンマヨネーズ」は、110円から116円に改訂。
定番銘柄の「日高昆布」は110円から116円に、紀州南高梅は110円から120円に改めた。

高価格帯の「新潟コシヒカリおにぎり」でも、「焼さけハラミ」を168円から198円に見直した。
同社は「単純な値上げとならないよう、商品刷新時に付加価値を高めた上で価格を見直した」と話す。

首都圏を中心に300店舗を展開するスリーエフは今年度、おにぎりの価格を見直した。
扱っている約30種類のうち3分の1に当たる商品で、価格を1個当たり5円上げた。
「主要な原材料の米の値上がり分を転嫁した。ツナマヨネーズやサケなど定番具材の商品は
据え置き、客離れを防いでいる」と説明する。

複数のコンビニやスーパーにおにぎりを納入する関東の業者は4月、納入価格を据え置いたまま
ご飯の量を5グラム減らし、実質的に値上げした。量目の見直しは、冷害で米価が高騰した
2003年以来という。同社は「この数年、銘柄間の価格差が縮んで値頃感のある米を調達しづらくなった。
ブレンドする銘柄の構成を見直すだけでは対応できない」と説明する。

日本炊飯協会によると、16年産の業務用米の取引価格は1キロ当たり260円程度。
近年で最も安かった14年産では1キロ200円を下回る取引もあったが、年を追うごとに価格が上昇。
値頃な米の不足感が背景にある。外食、中食業界で年末の17年産への切り替わりを見据え、
今後も価格上昇や、量目を抑える「実質値上げ」に踏み切るケースが増える模様だ。
関東の大手米卸は「17年産は1キロ300円を超える展開になる。上昇分は転嫁する流れ」と強調する。

米穀機構は「販売価格の上昇で消費を落とす懸念がある。消費動向を踏まえ、適切な価格の
居どころを探る視点が要る」と強調する。