11/19(日) 14:22配信 時事通信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171119-00000028-jij-bus_all
 国産ブドウだけを原料とし、国内で製造される「日本ワイン」の生産増に向けた取り組みが広がっている。
輸入した濃縮果汁やワインを混ぜ、国内で造られる「国産ワイン」と区別される日本ワインは、和食に合うともいわれ、
国内外で評価が高まってきた。ただ、生産量は少なく、国内大手メーカーはブドウ生産を強化するなど一層の普及を目指す。

 2016年の国内ワイン出荷量は、最大手メルシャンによると約36万4000キロリットル。内訳は輸入品が7割、
日本ワインを含む国産ワインが3割。日本ワインのシェアは市場全体の5%程度(15年)だが、
「17年1〜9月の販売量は前年同期比7%増」という。

 生産量を増やせない最大の理由は国産ブドウの不足。このため、各メーカーは積極的にブドウ確保に動いている。

 アサヒビールは3月、北海道余市町に栽培用の農地4ヘクタールを取得。18年春に植樹し、
23年には約2000ケース(720ミリリットル瓶2万4000本)の生産を予定する。メルシャンは
来年秋以降にワイナリー(醸造所)を2カ所新設するほか、27年にブドウ用の農地を現在の2倍となる約80ヘクタールに拡大する計画だ。

 サッポロビールは6月、自社農園(長野県池田町)に土壌水分などを測るセンサーを設置した。
品質向上に向け、データを集積し、将来はこれを基に人工知能(AI)が農作業の指示を出せる仕組みにしていく。

 一方、他のワインとの競争環境は厳しさを増しそうだ。1本1000円未満の手頃な製品が多いチリ産は19年に関税がゼロになり、
欧州連合(EU)と大枠合意した経済連携協定(EPA)が発効すれば、フランス産なども関税が即時撤廃される。
「日本ワインは定義も浸透しておらず、消費者へのアピールが弱い」との指摘が出ており、ブランド力や認知度の向上も課題だ。