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2017年11月23日 23:22 発信地:ドイツ

【11月23日 時事通信社】ドイツのメルケル首相が主導した第4次政権樹立に向けた3党連立交渉の19日の決裂を受け、第3次政権を担った首相の保守系キリスト教民主・社会同盟と中道左派・社会民主党の二大政党による大連立継続を探る動きが出てきた。再選挙の可能性を意識しつつ、ぎりぎりの駆け引きが続けられる見通しだ。

 社民党は過去4年間、連立政権に参加し、影響力の強いメルケル首相の陰に隠れてしまったことで存在感が薄れた。9月の連邦議会(下院)選挙で第2党の座は守ったものの得票率が大幅に下落。この結果を受け、シュルツ党首は党を立て直すため、連立に終止符を打ち、下野することを決断した。

 一方、社民党出身のシュタインマイヤー大統領は3党連立交渉の決裂後、「すべての党はもう一度、対応を熟慮すべきだ」と訴えた。23日にはシュルツ党首と会談。再選挙を回避し、政治を安定させるため、大連立継続を考えるよう促したとみられる。シュルツ氏は22日、DPA通信に「難しい状況下での責務は自覚している」と述べており、再考の余地がありそうな様子を見せ始めた。

 同盟と中道政党・自由民主党、環境政党「90年連合・緑の党」の3党連立交渉の再開は困難な情勢で、首相が下院で過半数を確保するには大連立が残る唯一の選択肢だ。これが実現しなければ、再選挙となる可能性が大きい。

 再選挙が行われても、各党の議席数に目立った変化は生じないとみられており、そうなった場合、連立交渉は多難なままだ。社民党議員からは党首が打ち出した大連立拒否方針に反発する声も出ており、今後、党内議論が活発化するとみられる。(c)時事通信社