和歌山県産柿が12月、日本で初めて米国に輸出されることになった。今年は九度山町の1園地で収穫される約800キロだが、将来的には千トンの輸出を目指す。県によると、米国では柿になじみが薄いため、アジア系住民が集中するカリフォルニア州で販路を開拓するが、今後地域を広げ「柿を食べる習慣も含めて輸出したい」としている。

 県や県農、産地のJA、日本貿易振興機構(JETRO)大阪本部が28日、県庁で発表した。

 県は2013年度以降、日本政府に植物検疫条件の米国との早期合意を提案し、必要なデータを提供するなど協力。今年10月12日、日本産柿の米国輸出解禁に至った。

 北米へは船便で約2週間かかり、出荷から店頭に並ぶまで約1カ月となるが、輸送試験により、冷蔵することで品質維持が可能であることを確認したという。

 輸出の条件は、植物検疫所に生産園地や選果梱包(こんぽう)施設を登録、検疫所による定期的な園地検査、病害虫検査。JA紀北かわかみ管内の九度山町で「富有柿」と「刀根早生」を栽培する計2園地、JA紀の里管内の紀の川市で刀根早生を育てる1園地が6月に登録された。今期は収穫時期の都合で、富有柿だけを輸出する。

 販路開拓は、柿になじみがあり、平均所得や食料支出が高いアジア系住民が多く住むカリフォルニア州で開始する。米国はスペイン、チリ、イスラエルからも輸入しているが、東海岸に入るため、競合しないという。一方、カリフォルニア州でも富有柿が生産されているが、収穫時期がずれた品種を出荷するなどして対応する。

配信2017年11月29日
紀伊民報
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