海上保安庁によりますと、朝鮮半島から来たと見られる木造船が日本国内に漂着したり周辺で漂流したりするケースは先月、28件確認されました。月別の数としては、平成26年1月の21件を7件上回って、データがあるこの4年で最も多くなっています。

こうしたケースは、例年、海上がしけやすい冬場に多くなる傾向があり、ことしも10月までは2件から5件の範囲で推移していましたが、先月になって急激に増えました。

背景には、北朝鮮が厳しい食糧事情への対応や外貨獲得の手段として、水産資源の確保に力を入れていることがあると見られます。キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長は、ことし元日の演説で漁獲量のさらなる増加を目指す姿勢を打ち出し、先月には朝鮮労働党の機関紙が「冬場の漁獲戦闘で戦勝の砲声を響かせるべきだ」と伝え、漁業に力を入れる方針に変わりはないと強調しています。

また、専門家によりますと、北朝鮮では、外貨獲得の手段として沿岸で漁をする権利を中国側に売り渡す動きがあるということで、その結果、北朝鮮の漁船が自国の沿岸を通り越して日本海まで来るケースが増えていると見られています。

朝鮮半島から来たと見られる木造船の漂着や漂流は、平成25年が80件、平成26年が65件、おととしが45件、去年が66件、そして、ことしは3日の時点で63件確認されていて、今後、増える可能性もあります。

配信12月4日 17時28分
NHK NEWS WEB
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