https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171225-00000051-zdn_n-sci

今年は「Google Home」「Amazon Echo」などスマートスピーカーが日本で発売され、
音声入力がより身近になった年だった。2016年に米国で発表された未来のネット予測レポート
「INTERNET TRENDS 2016」では、20年には音声によるWeb検索が50%を占めるようになると
予想されていた。

しかし、いまだに「音声入力は恥ずかしい」という声も根強い。KDDIが17年10月に発表した調査結果は、
「日本人の7割が人前で音声検索するのは恥ずかしいと感じている」というものだった。
確かに街中など公共の場で音声入力するのは少し気後れするが、家の中で使うスマートスピーカーは
どうだろうか。意外と多いのが“起動ワード”(ウェイクワード)に関する声だ。

●「OK、Google」なんて言わない

iPhoneの「Siri」を筆頭に、Googleアシスタント、Amazon Alexa、Clovaなどの音声アシスタントには、
それを起動させるためのワードがある。

Siriは「Hey、Siri」で、Googleアシスタントは「OK、Google」、Clovaはそのまま「Clova」と呼ぶと
音声操作を受け付ける状態になる。ちなみに、Amazon Alexaは「アレクサ」「エコー」「アマゾン」
「コンピュータ」の4種から選べ、コンピュータと設定すると、「スター・トレック」っぽくなるという
ライフハックもある。

音声アシスタントを使わない理由を聞いてみると、「突然Hey、Siriなんて言うのはおかしい」
「OK、Googleという言葉が恥ずかしい」など、ウェイクワード自体が日本人になじんでいないという
指摘は少なくない。「ねぇ、Google」といった話し言葉に近いものもあるが、「モノに話しかけている感」
が残る。「もしもし」「すみません」などより日常会話に近い導入の方がいいという声も上がっていた。

スマートフォンと違い、スマートスピーカーは基本的に持ち歩かずに自宅で使うもの。
グーグルの徳生裕人さんは「日本人は文化的に話しにくいというのもあるかもしれない。
電車の中より、自宅という環境下ならはるかに話し掛けやすく、今後の普及につながるのでは」と
期待を寄せていたが、スマートスピーカーが“音声入力の壁”を越える1つのきっかけになるかもしれない。

●音声入力に抵抗ない世代

音声入力への抵抗が低い世代もある。

11月にMMD研究所が発表した調査では、「スマホの音声入力機能を普段から利用している」
人の割合は10代が最も高く、「時々利用している」を含めると50〜60代の高齢者の割合が増えていた。

ジャストシステムが12月に発表した調査では、「AI音声アシスタントを利用したことがある」のは
10代が57.0%で最多、50代も36.5%が利用したことがあると回答した。

キーボードによるタイピングが身に付いているPC世代に比べ、スマホ世代の10代は音声入力への抵抗が
少ないという結果だ。「若者はiPhoneを好む」という調査結果もあったので、Siriをメインに使っているのだろう。

また、スマホの小さい画面で文字入力するのが苦手な高齢者も音声入力ならより簡単に操作できる場合がある。

実は長年ガラケーだった母が今年スマホデビューしたのだが、当初は初めてのスマホに四苦八苦していた。
特に苦戦したのが文字入力。物理キーのような押し心地がなく、ユーザーインタフェースも変わるため、
かなとカナ、英数字が混在する単語を打つのに一苦労だった。

例えば、Googleで「東京駅」と検索するとしよう。スマホ画面の文字も小さいため、購入当初はこれを
打つのに10分は掛かっていた。それが、音声検索を教えると一瞬で検索に成功した。普段スマホで
音声検索を使うことはほぼないのだが、そのときばかりは「これはすごい」と感動した。

しかし、高齢者にとってWi-Fiやスマホアプリ設定のハードルはまだまだ高い。また、「スマホで十分」
と考える10代にスマートスピーカーをどうアピールすればいいかという課題もある。スマートスピーカーが
越えるべき壁は多い。