http://www.sankei.com/world/news/171229/wor1712290014-n1.html

インドには新年を派手に祝う習慣がなく、この時期になってもニューデリー市街で年の瀬の雰囲気はほとんど感じられない。
必然的に忘年会もないのだが、インド人は年末年始に限らず頻繁にホームパーティーを開催する。
食事はやはりカレーが中心で、宴は深夜まで続くのが常だ。

 12月に入って誘われたパーティーで、シーク教徒の若い男性と知り合った。日本人がインド人と聞いて思い浮かぶターバン姿は
、インドの人口の2%ほどのシーク教徒のものだ。髪の毛を切ることが禁じられており、伸びた髪をまとめるためターバンを使用する。

 ところが、この若者はターバンを巻いておらず、さっぱりとした髪形だ。理由を聞けば「むれるから」だと話す。
ターバン未経験の部外者にもわかりやすい理由だが、こうした“合理的”に考える若い層は増えているという。
日本でも「若者の読書離れ」「自動車離れ」などが話題となるが、インドでターバン離れが進行中とは思わなかった。

 シンボルともいえるターバンを巻かなくなることは勇気がいると思うが、伝統も変容していくということだろう。
その隣でヒンズー教徒の老人が「クリスマスを祝うヒンズー教徒がいる」とも嘆いていた。
歳末のパーティー会場で、インドの宗教について考えさせられた。(森浩)