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 放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会の中立性に疑義がもたれている。放送界の第三者機関として「裁判所」に例えられ、政府批判や選挙報道など政治的なテーマにも踏み込む組織だが、審査基準は不透明で、委員の人選にも「リベラル寄り」との批判がつきまとう。設立から10年がたち、存在意義を問う声が上がっている。(玉崎栄次)

「放送してはいけない番組を放送した」。昨年12月14日、検証委は沖縄の米軍基地反対運動を批判的に紹介した東京MXテレビの番組「ニュース女子」について、放送前に事実関係や表現のチェックを怠る「重大な放送倫理違反があった」とする意見書を発表。委員長の川端和治弁護士は記者会見で厳しくMXを“断罪”した。

 反響は大きく、「裁判にたとえるなら有罪判決に等しい」(毎日新聞同17日付社説)と報じられるなどBPOの存在感を印象づけた。だが、メディアに詳しい評論家、潮匡人氏は「本来は国民が納得できる公平な放送環境づくりが役割であるはずなのに、一部の政治活動に“お墨付き”を与える存在になってしまっている」と指摘する。

 事実、基地に反対する日本民間放送労働組合連合会(民放労連)は検証委の意見書を踏まえ「沖縄への差別的な言説は、根拠に乏しい意図的な虚偽情報であることが改めて明らかになった」とする委員長談話を出し、基地問題に「両論併記はありえない」と反対運動批判を封じにかかった。

「偏向番組」は黙認

 検証委は平成19年、関西テレビの番組「発掘!あるある大事典II」のデータ捏造問題をきっかけに、NHKと日本民間放送連盟(民放連)が放送界の自浄機能の確立などを目的に設立。10年間で、放送局に是正を求める27件の意見書などを取りまとめている。

 27年のNHK報道番組のやらせ問題をめぐる意見書では、NHKを厳重注意した総務省の対応を「放送の自律を侵害する行為」と非難するなど、放送界に対する外部からの批判に激しく反発している。しかし一方で、「第三者機関」を自称しながら偏向報道を黙認してきたのも事実だ。

 昨年7月の「加計学園」をめぐる国会報道や、同10月の衆院選番組の野党擁護について、視聴者からBPOに「偏りすぎている」などの意見が相次いだにもかかわらず、いずれの番組も審査対象にはならなかった。

ダブルスタンダード

 審査対象とする番組を決めるのは委員らによる話し合いで、「視聴者からの意見の数とは必ずしも一致しない」(BPO広報)

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