2020年東京五輪・パラリンピックを翌々年に控えた今年、ニッポンの再開発が本格的に動き出す。東京都心部を中心とした各地ではオフィスビルやホテルなどを核にした都市の再開発が進行。街の魅力を最大限に発揮させることを狙い、働く人や観光客らを引きつける都市インフラの再構築に国や自治体も着目、街のにぎわい創出を後押しするための規制緩和政策なども充実してきた。前回の東京五輪から54年。五輪後も見据えた国際競争力の強化を目指し、再びニッポンが脱皮を図ろうとしている。(伊藤俊祐、佐久間修志、日野稚子)

 東京都心部で超高層ビルの建設を中心にした大型再開発が相次いでいる。こうした“地殻変動”は東京五輪・パラリンピックの先も視野に入れた、「国際競争力を取り戻す」という使命感を帯びた長期的なプロジェクトだ。東京駅周辺や渋谷、虎ノ門といった主要エリアの開発を手がけるデベロッパー間の競争も激しさを増している。

 ■日本一高いビル

 首都の顔である東京駅。その北側で三菱地所が2027年度までの完成を目指し、日本一高い390メートルの高層ビルの建設を進めている。これに呼応する形で再開発が遅れていた八重洲周辺での動きも活発化。三井不動産や東京建物が中心となって巨大バスターミナルを地下に整備し、22年以降に200メートルを優に超える超高層ビルが相次いで誕生する予定だ。

 外国人旅行客の誘致や国際金融拠点としての地位向上を図るため、世界に向けた情報発信力が鍵を握る中、他のエリアでも巨大開発が進む。

 渋谷駅周辺で「100年に1度」とたとえられる大改造を先導するのは東京急行電鉄。「渋谷スクランブルスクエア」など6カ所の大型プロジェクトが進行中で、27年度に完了する計画だ。

 渋谷は20年ほど前、起業家が集う「ビットバレー」として注目を集めたが、六本木などにお株を奪われていた。こうした中、米グーグルが日本法人本社を19年に渋谷に再移転することを発表。「IT系ベンチャーの集積度はさらに高まるはず」と関係者の鼻息は荒く、「起業家の街」の本格的な復活に向けた渋谷の逆襲は着々と進みつつある。

 ■半世紀ぶりの新駅

 一方、六本木の開発を主導してきた森ビルは現在、「虎ノ門ヒルズプロジェクト」を手掛ける。事業規模は総額4000億円で、14年6月に開業した虎ノ門ヒルズをはじめ22年度までに計4棟の超高層ビルを立ち上げる。その中の一つは東京メトロ日比谷線虎ノ門新駅(仮称)と直結。再開発後は就業者数が現在の3倍になるなど、虎ノ門エリアの経済規模は大幅に拡大する。

 またJR東日本は20年春に、山手線の約半世紀ぶりの新駅となる「品川新駅」(仮称)を田町−品川間に開設する。27年にはリニア新幹線も開業するため、一連の動きを見据えて品川駅周辺でも駅と街が一体となった街づくりが加速しようとしている。

 森記念財団都市戦略研究所は、世界の都市総合力ランキングを毎年実施している。17年版の東京は前年に引き続き3位。2位のニューヨークとは差を詰めたが、首位のロンドンとは逆に広がった。ただ、都心で繰り広げられているエリア間競争がさらに激化すれば、相乗効果で国際競争力の向上につながることは確かなようだ。

配信2018.1.3 06:35
SankeiBiz
http://www.sankeibiz.jp/business/news/180103/bsc1801030500001-n1.htm

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