また,被告らは,地域住民は裏山の崩壊を恐れており,津波が実際に大 川小学校付近に襲来する以前の時点で予防的に大川小学校の裏山に登った 住民は皆無であったとも主張するが
かかる事情が認められたとしても, そのことにより,児童の生命身体を保護すべき義務を負う教員が注意義務 を免れるものということはできない。
この点,本件震災当時5年生であっ た児童に対する聞き取りによれば
D教頭は,釜谷地区の区長に「山に上 がらせてくれ。」と言ったのに対し,同区長が反対していたのを聞いたと いうのであるが(甲A22の18)
このようなやり取りがあったとして も,D教頭としては,区長の意見をいたずらに重視することなく,自らの 判断において児童の安全を優先し,裏山への避難を決断すべきであったと いうべきである。