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1月15日 18時53分
成人の日に、振り袖が新成人のもとに届かなかった問題で、突然、休業した晴れ着の販売などを行う会社、「はれのひ」に数年前まで勤務していた元従業員がNHKの取材に応じ、「1人当たり1日で300件から400件、電話をかけるという厳しい営業目標があり、辞める従業員も多かった。経営を続けられるのか心配になることもあった」と証言しました。

元従業員は、横浜市中区に本社がある「はれのひ」に数年前まで勤務していました。

一生の記念となる着物を選ぶお手伝いをしたいと入社しましたが、社内では、以前から、営業の電話を数多くかけなければならない厳しい目標があり、精神的に追い詰められて辞めていく従業員も多かったということです。

元従業員は「1人当たり1日で300件から400件、営業の電話をかける目標があり、つながらないときや、最後まで話ができなかったときは次の日もかけていた。他社と比べても電話の目標が多く、焦らせて決断を迫るのが誠意ある行動なのかと疑問を感じていた」と振り返りました。

そして「目標を達成できないと『なぜできなかったのか』と上司から問い詰められ、指導された。精神的にまいって体調を崩す人も多かった」と証言しました。
出勤できなくなった従業員には幹部社員が退職を勧め、「あすから来なくていいよ」と突然、告げられることもあったということです。
元従業員は「ひと月に3、4人辞めるという事態が続いていた。1日で辞める人もいて、長くても1年続かない人が多かった。そして、退職することになった従業員には給与が支払われないことが頻繁にあった」と証言しています。

社内のミーティングでは、篠崎洋一郎社長が「店舗をどんどん増やしていきたい」と説明していましたが、従業員が頻繁に辞めて常に求人をしている状態で、出店する予定の場所も次々と変わっていったと言います。
元従業員は「月を追うごとに売り上げの目標を達成できない状況が続き、従業員が頻繁に辞めていく中で、このまま経営自体を続けられるのか心配になることもあった」と述べました。

今回、多くの新成人が振り袖を着られない事態となり、会社側と連絡が取れなくなっていることについては「成人式を台なしにした会社にいたことが残念でならない。社長はしっかりと公の場に出て、なぜこのような状況になったのか、誠意をもって説明すべきだ」と話しています。