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1月23日 21時01分
今月19日、音楽プロデューサーの小室哲哉さんが女性問題をめぐる週刊誌などの報道を受け、芸能活動からの引退を発表しました。その会見の中で、妻で歌手のKEIKOさんが「高次脳機能障害」であることが明かされましたが、そもそも聞き慣れない「高次脳機能障害」という言葉。ネット上では、同じ障害の家族がいる人から、介護の大変さを知ってほしいといった投稿が相次ぐなど注目を集めています。
(京都放送局記者 吉田篤二/ネットワーク報道部記者 野町かずみ 宮脇麻樹)

会見きっかけに 多数のツイート

19日の会見で小室さんは、妻のKEIKOさんが高次脳機能障害だと明かしたうえで、「障害のため大人としての会話のやり取りが日に日にできなくなり、3年ほど前から僕も疲れ果ててしまった」と、介護と仕事の両立に苦悩した当時の心境を振り返りました。こうした小室さんの発言に、会見直後からネットではツイートが相次ぎました。

その1人、千葉県に住む30代の女性は3年前から同じ障害がある母親を介護しています。女性は、会話が成り立たなくなることもある母親の症状や、毎日の介護の様子などを紹介し「24時間365日、在宅介護している身としては小室さんの気持ちが痛く刺さります」とつづりました。

これに対して、ネット上では「自分もまさに同じ感じです」とか、「母の介護で経験したから分かる」などと、共感する声が次々と寄せられ、2万4000を超えるリツイートがありました。

この女性に電話で取材したところ「母親はテレビを見て『おもしろいね』と言いたいのに、『おいしいね』と言ってしまうようなことがあります。私はちぐはぐな会話がつらくて、精神的に余裕のないときは一人で泣いていました。今回、数多くの声をいただいて、同じ境遇の人がたくさんいるのだと気づかされました。仕事をしながら介護する人が相談したり頼ったりできる場をもっと増やしてほしいです」と話してくれました。

周囲に伝わりにくい障害

高次脳機能障害とは、交通事故や脳卒中などによって脳が傷つくことで、人間ならではの高次脳機能、つまり記憶したり思考したりする機能を失ってしまう障害です。

日常生活では、けさの食事内容が思い出せない「記憶障害」、物事に集中できない「注意障害」、言葉が上手く話せなくなる「失語症」、お茶の入れ方がわからなくなる「失行症」など、人によりさまざまな症状が見られます。

ただ、症状が現れていても外見上はあまり目立たないため、周囲からなかなか手を差し伸べられない中で家族に介護の負担がのしかかりがちです。

介護の大変さに理解を

高次脳機能障害の介護の現状について、都内にある家族の会などでつくるNPO法人の細見みゑ理事長に話を聞きました。

細見さんは、「一人一人症状も程度も異なるため一概には言えないのですが、介護が大変なことは事実です」と言います。

「この障害は見た目ではわからないので、周りには何でも一人でできると思われてしまいがちですが、そうではありません。例えば、一人で着替えができても、寒い日に半袖シャツを着てしまうとか、真夏に厚手の服を着てしまうということもあります。ほかにも、自宅のトイレの場所がわからなくなったり、読み書きができなくなったり症状はさまざまです。一人にすることができず、家族は目が離せません」(NPO法人「東京高次脳機能障害協議会」細見さん)
(リンク先に続きあり)

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