https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180124-00050097-yom-sci

1人が死亡、11人が負傷した草津白根山(群馬県西部)の本白根山(もとしらねさん)の噴火で、
気象庁は24日、草津白根山で火山性微動が発生したと発表した。

群馬県警と地元消防は同日朝、行方不明者の有無を確認するため、噴石が飛来した草津国際スキー場で
捜索を始めたが、火山性微動の発生を受け、中止した。一方、専門家の調査で、複数の火口からほぼ同時に
噴石の飛散などが起きていた可能性があることが判明した。

23日の噴火直後に現場を調査した東京工業大・草津白根火山観測所の野上健治教授が、
読売新聞の取材に対し、噴火は少なくとも2か所の火口で、ほぼ同時に起こった可能性があると指摘した。

野上教授は同日、陸上自衛隊員らが死傷した本白根山麓にある草津国際スキー場のゲレンデを
スノーモービルで登り、山腹の様子などを調査した。野上教授によると、噴火の約2時間後の時点で、
少なくとも2か所から、高さ約10メートルの噴煙が上がっているのが見えたという。

噴火を撮影した映像なども解析した。その結果、今回の噴火は気象庁が発表した「鏡池」付近だけでなく、
同スキー場のリフトの東側付近でも起きたと推定した。

スキー場の中腹では、直径1メートル程度の大きな噴石を発見、さらに直径数十センチ程度の噴石も
無数に確認できた。スキー客が多ければ、さらに犠牲者が増えていた可能性もある。気象庁は草津白根山の
噴火警戒レベルを3(入山規制)とし、鏡池付近から半径約2キロ・メートルの範囲では噴石に警戒するよう
呼びかけている。

本白根山は約5000年前〜1500年前に火山活動があり、これまでに五つの主な火口が確認されている。
野上教授は「目立った兆候もなく、スキー場の近くなど複数の火口から一気に噴火する恐ろしい事態。
我々も何が起きたのか理解が難しい。火山地域の観測体制の強化や人材育成を、国全体で考えるべきだ」と話した。