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 トヨタ自動車は、愛知県豊田市と岡崎市の山あいにつくる大型テストコースを2019年4月から23年にかけて順次使い始めることを明らかにした。絶滅危惧種の生息などを理由にした反対運動にあい、環境への配慮からコースを14本から11本に減らした。稼働の時期も目標だった12年から大幅に遅れる。

 トヨタがつくるのはテストコースや実験棟など。豊田市中心部の本社から15キロほど離れた山林に、東京ドーム140個分の650ヘクタールの敷地を確保する。

 うち410ヘクタールを開発する計画を270ヘクタールに縮めた。当初5千人と目された働き手も、いまの計画では23年時点で最大3300人。将来的に3850人という。

敷地は東、中、西の3工区。まずは中工区で欧州の山岳路を模した5キロのコースを19年春に稼働させる。東工区にドイツの高速道路やサーキットなどを模したコース10本を、西工区に実験棟などをそれぞれ整え、23年に全面稼働させる。

 計画は、トヨタが愛知県に協力を求めた07年2月に表面化。その後、予定地で絶滅危惧種の猛禽(もうきん)類サシバなど希少な動植物が相次いで見つかり、環境団体による訴訟も起きた。

 用地の買収や造成を担ってきた愛知県が29日、造成を終えた中工区を来月19日にトヨタに引き渡すと発表した。これを踏まえた取材にトヨタが応じた。

 大村秀章知事は会見で「拠点整備は『日本一元気な愛知』の実現のためにも極めて重要。環境に配慮しながら工事を進めてきた」と話した。トヨタはコメントは出さなかった。

 トヨタは国内のテストコースを本社、静岡県裾野市、北海道士別市にも構える。新施設の敷地は士別市の930ヘクタールに次ぐ。トヨタは今回の投資総額を公表していないが、県によると、県が用地買収や造成などに投じた1100億円はトヨタが負担する。(北上田剛、山本知弘)

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