最後の映画看板師ともいわれ、「板観ばんかんさん」の愛称で親しまれた久保板観さん(本名・久保昇)が4日夕、脳出血のため亡くなった。

 77歳だった。JR青梅駅周辺の商店街に飾る映画看板を描き続け、レトロの街づくりに貢献してきた。

 板観さんは東京都青梅市出身。中学時代から映画ポスターを模写し、中学卒業後は看板会社を経て、16歳で市内の映画館で働き始めた。看板絵師として活躍したが、市内から映画館が消えた1973年以降は、商店の看板を請け負った。

 再び映画看板を手がけるようになったのは94年。青梅駅周辺の商店街が「昭和レトロ」をテーマに活性化に取り組むことになり、映画看板を飾ることにしたためだ。かつて花形映画看板師だった板観さんが作品を一手に引き受け、年に30枚を描くこともあった。

 街全体で昭和の雰囲気作りにこだわった結果、「昭和」は青梅駅周辺の代名詞に。懐かしむ中高年や、昭和に新鮮さを感じる若者らが訪れるようになった街に、板観さんとその作品は欠かせないものだった。

 浜中啓一・青梅市長は「青梅が昭和レトロの街として名をはせているのも、板観さんの貢献なくして語れない。敬意を表します」と語った。

YOMIURIONLINE 2018年02月07日 21時23分
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