2/9(金) 11:38配信
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 中国人の技能実習生を含む労働者31人に違法な長時間労働などをさせたとして、青森労働基準監督署は8日、労働基準法、労働安全衛生法違反の疑いで、青森市の水産加工業「成邦商事」と社長の男性(58)、総務部長の男性(66)を青森地検に書類送検した。技能実習生の長時間労働を巡る立件は県内初。

 労基法の送検容疑は、2016年5月16日から6月15日までの1カ月間、同社と社長が、労働者31人に対し、残業をさせるのに必要な労使協定(三六協定)がないのに、法で定めた1日8時間、週40時間を超える時間外労働をさせた疑い。31人全員が、過労死ラインの月100時間を超える同103〜144時間の残業をしていたという。

 31人の内訳は日本人男性12人、同女性4人、技能実習生の中国人女性15人。このうち、日本人男性12人に対しては、時間外労働に対する割増賃金の一部計47万円を所定の期日までに支払わなかった疑いもある。

 同署によると、事件当時、同社の従業員155人のうち、26人が実習生の中国人女性。その多くに違法な時間外労働が確認され、このうち時間外労働が月100時間を超えた15人を立件対象とした。同社は三六協定を届け出ていたが、法で定めた手続き(労働者同士による互選など)を踏まず、社長が労働者側の代表を一方的に選んでおり、協定は無効−とされた。

 一方、労安法の送検容疑は、食料品製造を扱い、常時100人以上の労働者を雇用しているにもかかわらず、法で定められた安全委員会(設置要件100人以上)と衛生委員会(同50人以上)を設置せず、総務部長は、同署の立ち入り調査の際、偽造した委員会の議事録を示し「委員会を毎月開いている」と虚偽の説明をした疑い。

 8日、県庁で会見した同署の本田義和副署長は書類送検に踏み切った理由について「15年4月の立ち入り調査時に、労基法と労安法違反による是正勧告を行ったが、16年10月に立ち入った際にも違法な時間外労働の事実を確認した」と説明。青森労働局の八木澤朋宏・過重労働特別監督監理官は「実習生が含まれているが、違法な状態があれば、日本人、外国人の区別なく対応する」と話した。


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