農水省は、鹿やイノシシなど野生鳥獣の肉(ジビエ)について、利用量の調査結果を初めて公表した。2016年度の利用量は1283トン。獣種は鹿が最も多く、北海道での利用が最多だった。政府は調査結果を基に課題を洗い出し、19年度までに利用量を倍増させる方針だ。

 政府は17年、深刻な農作物被害の削減につなげるためジビエ利用量を増やし、19年度には倍増させる目標を打ち出した。詳しい利用量は把握できていなかったため、同省は鹿やイノシシなどを扱う全国の食肉処理施設を対象に調査を進めていた。

 利用量を用途別に見ると、食肉処理施設が食肉として飲食店などに販売したものが1015トンで、全体の8割を占めた。獣種では鹿(665トン)が最多で、イノシシ(343トン)が続いた。

 次いで多かったのは、ペットフード向けに販売された150トン。処理加工施設の職員が捕獲し、自家消費したものが84トンあった。

 ジビエ利用量を都道府県別に見ると、エゾシカのジビエ利用が盛んな北海道が503トンで群を抜いて多かった。次いで、ぼたん鍋が有名な兵庫県(117トン)、鹿のジビエ利用が多い鳥取県(63トン)となった。

 ジビエ利用された野生鳥獣は8万9230頭・羽。このうち鹿は5万5668頭、イノシシは2万7476頭で、捕獲頭数(15年度)に対してそれぞれ10%、5%だった。比較的遅れているイノシシの利用拡大が課題の一つと言えそうだ。

 食肉販売や食肉処理の代行など、食肉処理施設がジビエで得た金額は30億3000万円。食肉販売額が28億9300万円で、鹿が14億8300万円、イノシシが13億7100万円だった。

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