【AFP=時事】ブラジルのリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)で、流行している黄熱への懸念と誤った認識により、多数のサルが違法に殺される事案が相次いでおり、黄熱ウイルス対策が困難になっている。当局が明らかにした。

 多数のサルが殺されている背景には、現地の住民たちが、サルがヒトに黄熱ウイルスをまき散らす可能性があるという誤った認識を持っている現状がある。

 多数のサルが殺されていることを受けて対策に乗り出した保健当局によると、リオデジャネイロ州では今年に入ってから既に238匹のサルの死骸が見つかっている。昨年1年間に見つかった死骸は602匹だった。

 今年見つかったサルの死骸の69%でヒトから攻撃を受けた痕跡が見られた。そのほとんどは撲殺された跡で、他には毒殺されたサルもいた。昨年見つかったサルの死骸のうち、ヒトに殺されたとみられるのは40%だった。その他のサルは「自然死」とみられている。

 リオデジャネイロ州では今年に入ってから25人が黄熱で死亡した。政府は大規模な予防接種キャンペーンを開始したがワクチンは不足している。

 リオ獣医学センター(Rio Veterinary Center)のファビアナ・ルセナ(Fabiana Lucena)氏は、混乱した住民たちがサルを攻撃するという大きな過ちを犯していると指摘し、「黄熱ウイルスを媒介しているのは蚊だということを人々は理解しなければならない。サルは犠牲者だ。郊外でサルがいなくなってしまったら、蚊はヒトを襲いにくるだろう」とAFPに語った。

 ルセナ氏は「サルは私たちにウイルスのいるところを示してくれるので、見張りの役目を果たしている」「より効果的な予防接種キャンペーンを実施するためには、サルが黄熱で死んでいる地域を特定しなければならない。人々がサルを殺してしまうと、ウイルスの追跡が困難になる」と述べた。【翻訳編集】 AFPBB News

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