高速道路のSA/PAは上下線で別々に設置されることが一般的ですが、近年、上下線の設備をひとつに集約したタイプが増えています。施設運営を効率化できるといいますが、一方でデメリットもあるようです

■3月開通「新名神」にも新たに誕生

 2018年3月18日(日)に、新名神高速の川西IC〜神戸JCT間が開通し、名神高速と中国道、山陽道を山間部経由で結ぶ新ルートが完成します。新規開通区間には、西日本最大の駐車台数という宝塚北SA(兵庫県宝塚市)も開設されます。

3月18日にオープンする新名神高速 宝塚北SAのイメージ。上下線集約型のSAとなっている(画像:NEXCO西日本)
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 このSAは、「上下線集約型」であることが特徴です。一般的にSA/PAは、上下線で別々に設けられていますが、上下線集約型はこれを1か所にまとめたもの。宝塚北SAの場合、上り用と下り用の駐車場をはさんで商業施設やトイレなどが配置され、どちらからも利用できるようになっています。

 このような上下線集約型のSA/PAは、2005(平成17)年のNEXCO発足以前も、たとえば東名高速の浜名湖SA(静岡県浜松市)などいくつか存在しましたが、近年、特にNEXCO東日本、中日本管内で増えています。

 たとえばNEXCO東日本では2014年から2015年にかけ、常磐道の南相馬鹿島SA(福島県南相馬市)、鳥の海PA(宮城県亘理町)、圏央道の菖蒲PA(埼玉県久喜市)、高滝湖PA(千葉県市原市。下り線側は2013年オープン)と4つの上下線集約型SA/PAを開業し、2018年夏にオープンする北関東道の太田PA(群馬県太田市)も、上下線集約型で整備しているといいます。同社に、そのメリットなどを聞きました。

――上下線集約型にはどのようなメリットがあるのでしょうか?

 施設をひとつに集約することで、建設コストや運営、従業員配置の効率化などを図ることができます。もうひとつのメリットとしては、たとえば上り線側だけに美しい景観があった場合、そちら側に上下線集約型の施設をつくることで、下り線のお客様も景観をお楽しみいただけるようになります。当社管内でこのような例は、秋田道の錦秋湖SA(岩手県西和賀町)が該当します。

 また、SA/PAにスマートICを整備するうえでも、1か所で上下線へ通じるため、案内上わかりやすくなることもあるでしょう。

増えた理由は「たまたま」? 施設レイアウトはこう決まる

――デメリットはありますでしょうか?

 施設の建設は効率的になるものの、本線に通じるランプウェーなど土木構造物の建設費が高くなる可能性があります。

――近年あえて増やしているのでしょうか?

 NEXCO発足以前にできたところもあり、近年あえて増やしているわけではありません。地形など場所ごとに諸条件が異なりますので、施設配置もその都度決めています。

新東名高速の清水PA(静岡市清水区)、岡崎SA(愛知県岡崎市)、東海北陸道の城端SA(富山県南砺市)などで上下線集約型を採用しているNEXCO中日本によると、「休憩施設の計画は、本線を挟んで分離した形式が基本」としつつ、「集約型を意図的に増やしているわけではなく、眺望性や敷地の条件を考慮した結果、採用されるケースがあります」といいます。宝塚北SAを整備中のNEXCO西日本も、集約型にした理由は「建設コストの抑制と従業員配置の効率化にあります」といいますが、やはり今後、意図して増やすつもりではないそうです。

 また、上下線集約型には、給油施設の適正配置という側面もあるそうです。高速道路には一定の間隔で給油施設が必要ですが、NEXCO中日本によると、集約型SA/PAではこれを上下線でひとつにでき、給油施設の採算性と高速道路サービスの向上を図ることができるとのこと。

「一方で、上下線それぞれの方向のお客さまニーズに対応する必要があるため、分離型の1エリアと比べて商業施設規模が大きくなるほか、商業施設内ではお客さまが上下線を混同して迷う恐れがあり、館内の案内を強化する必要も生じます」(NEXCO中日本)

 ちなみに、NEXCO中日本によると、SA/PAに隣接した高速道路用地外に「ハイウェイオアシス」と呼ばれる商業・レクリエーション施設や、「道の駅」などが設置されることを考慮して、SA/PAの施設配置を決める場合もあるそうです。

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2018.02.12 乗り物ニュース
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