幕末の雄藩だった佐賀県で17日、今年の明治維新150年を記念した「肥前さが幕末維新博覧会」が開幕した。卓越した技術力で近代化をけん引した佐賀藩の歴史を振り返るとともに、文化や食といった現代の多彩な魅力を発信する。来年1月14日まで。

 佐賀藩は、江戸時代にオランダとの貿易拠点だった出島(長崎市)の警備を任されており、西洋の科学技術をいち早く取り入れて国内初の鉄製大砲や実用蒸気船を造った。元首相で早稲田大創立者の大隈重信や、日本赤十字社の前身を創設した佐野常民ら、多くの偉人も輩出した。

 佐賀市では、佐賀城跡近くのメイン会場「幕末維新記念館」で、10代藩主・鍋島直正らの功績を最新の映像技術を駆使して紹介。大隈や明治新政府で初代司法卿(現在の法相)を務めた江藤新平らが学んだ藩校「弘道館」を体験できる施設や、人間国宝の手による有田焼などの器や地元食材を堪能できるレストランを設けた。このほか県内各地で、関連イベントが行われる。

 開幕式には維新を進めた薩長土肥(鹿児島、山口、高知、佐賀)の4知事が集結。鹿児島県の三反園訓知事から「薩摩は佐賀を模範に近代化を歩んだ」と持ち上げられると佐賀県の山口祥義知事は「鹿児島がここまで認めてくれた。歴史的な話だ」と笑った。〔共同〕

明治維新150年を記念した「肥前さが幕末維新博覧会」の開幕式に集まった薩長土肥4県の知事(17日午前、佐賀市)=共同
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2018/3/17 11:11
日本経済新聞
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