福井銀行本店、82年の歴史に幕
空襲、震災に耐えたシンボル
2018年3月17日 午前7時00分 福井新聞ONLINE
http://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/306467

82年の歴史を歩み、現在地での建て替えに伴い営業を終えた福井銀行本店=福井市順化1丁目
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2020年12月の本店建て替えを計画する福井銀行(福井市順化1丁目、林正博頭取)は3月16日、福井空襲、福井震災に耐え、中心市街地のシンボルとして地場産業とともに82年の歴史を歩んできた現本店ビルでの営業を終えた。
19日からは近くの福銀センタービルに、本店営業部を仮移転する。

大名町交差点に面する本店は、1903(明治36)年に現在の位置に開設された。
その後、戦前の1936(昭和11)年に現本店の原形となるビル(3階建て=旧館)を新設。甚大な被害をもたらした48年の福井震災では一面、焼け野原となったが全く被害を受けず、翌日から営業。
復旧資金共同融資団の幹事行として、被災した県内企業の緊急融資に乗り出したという。

62年に旧館を改築し、棟続きで5階建ての新館を増設し、現本店ビルとなった。
ただ老朽化が進み、耐震に対応するため現在地での建て替えを決めた。
旧館は鉄筋コンクリート造り。当時の太い柱やレトロな手すりのほか、頭取の執務室、融資の担保とした反物を保管する倉庫などが残っていた。

最終日に本店を訪れた理容室店主の虎尾吉暁さん(67)=福井市=は「歴史ある建物なので、さみしい気はする」と名残惜しそう。
北陸新幹線の県内延伸を見据えたJR福井駅前の整備が進む中で「どんなビルになるのか楽しみ。にぎやかな空間になってほしい」と期待を寄せた。閉店の午後3時を迎えると、本店営業部の女性行員らがカウンター前に並び、来店者を見送った。

5月から解体を始め、11月から新本店の建設を始める。2020年9月に完成、同年12月にオープンする予定。
「地域をつなぎ、未来を創る」をコンセプトに掲げる新本店は7階建てで、1階は本店営業部、2階はイベントスペースと交流ホール、3〜7階は本部オフィスになる。

長谷川英一・執行役本店営業部長は「現本店は福井の発展とともに歩んできた。新本店はまちづくりの一翼も担うもので、地域経済の活性化に向け、建て替えとともに行員も生まれ変わっていきたい」と話していた。