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3月20日 7時00分
皇太子さまは、ブラジルで始まった水をめぐる問題を話し合う国際会議、「世界水フォーラム」に出席し、基調講演で、地球規模の自然の脅威に対し国際社会が結束することの必要性などを訴えられました。

「世界水フォーラム」は、3年に1度、各国の政府や国際機関の関係者などが参加して、世界の水をめぐるさまざまな問題を話し合う国際会議です。8回目の今回は、ブラジルの首都、ブラジリアで開催され、皇太子さまは、現地時間の19日、開会式に出席されました。

あいさつに立った皇太子さまは、「『水を分かち合う』ためには、水がすべての人と自然に無くてはならないものだと深く理解し、水に関する歴史上の経験と知恵から学び、水に関する情報を共有し、水を保全し利用するために協力しなくてはなりません」と述べられました。

続いて、水と災害をテーマにした会合で基調講演を行い、地球温暖化や気候変動で豪雨や干ばつなど水災害が激化していくことが懸念されるとしたうえで、「地球規模で発生する自然の脅威に対抗するため、国際社会は結束して対処していく必要があります」と話されました。

さらに、「最も大きく影響を受けるのは女性や子ども、お年寄りやハンディキャップのある人たちなど、社会的に弱い立場にある人々です」などと語り、水をめぐる問題を引き続き見守っていきたいという考えを示されました。皇太子さまは、22日に帰国されます。

水問題への取り組み

大学時代、「水上交通」をテーマに水にまつわる研究を始められた皇太子さま。水をめぐる問題に長年取り組む中で、ご自身の視野や活動の幅を広げられてきました。

大きなきっかけとなったのが、平成15年に京都で開かれた「世界水フォーラム」でした。大会の名誉総裁を務めた皇太子さまは、「水上交通」について講演を行う一方、世界各国の専門家と交流する中で、水をめぐる問題が環境や衛生など多方面にわたることに驚き、問題への理解を深めて関わり続けたいと考えられるようになりました。

根底にあったのは、社会で弱い立場にある人たちを思う気持ちでした。かつてネパールで目の当たりにした水くみ場に列をなす女性や子どもたちの姿が強く印象に残られていた皇太子さま。「開発途上国では、多くの女性が水を得るための家事労働から解放されずに地位向上を阻まれ、子どもが水くみに時間を取られて学校へ行けない現実がある」などと、水の問題が社会に与える影響を語られるようになりました。

その後も国内外で水に関する施設の視察や研究を重ね、平成19年に、国連の「水と衛生に関する諮問委員会」の名誉総裁に就任すると、水の問題は温暖化などとも関わる地球規模の課題だという認識を深め、「国際社会が一体となって取り組んでいかなければならない」と述べられるようになります。

そうした中、平成23年に東日本大震災が発生し津波で多くの犠牲者が出ます。皇太子さまは、日本の水災害の教訓を国際社会に伝えていくことにも力を入れられていきます。

平成25年には、皇族として初めて国連本部で講演を行い、歴史研究者としての視点から過去の災害に学び未来への備えとすることの重要性を訴えられました。

「水上交通」に始まり、「社会的弱者」や「地球環境」、そして「災害」へと視野を広げてきた皇太子さまは、去年の誕生日を前にした記者会見で、「国民の幸せや、世界各地の人々の生活向上を願っていくうえでの、一つの軸として、『水』問題への取組を大切にしていければと思っています」と話されています。
(リンク先に続きあり)

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