0001ガーディス ★
2018/03/27(火) 11:26:19.67ID:CAP_USER9酒とギャンブルに溺れて生きてきた。生まれたのは九州で、終戦の前の年だった。両親は7人の子を抱え、瀬戸物店を切り盛りして戦後の混乱期を乗り越えてきた。ところが16歳の時、頼りの父が他界する。次第に生活が荒れ、金のために盗みや暴行を繰り返すようになった。
前回も窃盗罪で、昨年夏まで4年間、収監されていた。ポリオで手足に障害が残る上、刑期中に70歳を過ぎ、寒さも体にこたえるようになった。「もう、この年で刑務所に入るのは、きつい」。酒とギャンブルを断つと誓って出所した。
世間の風も冷たかった。親族には既に見放されており、頼った知人にも背を向けられた。何とか福祉施設に入れたものの、人間関係でつまずいた。昨年末に飛び出したとき、所持金は2700円だった。
繁華街をさまよい歩き、雨の日や夜は地下でしのいだ。クリスマスイブに食料が尽き、丸2日、飲まず食わず。気付いたらスーパーでコーラを手に取っていた。そのまま店を出たところで捕まった。ポケットにはおにぎりも入っていた。
今年2月、地方裁判所の法廷に立った。偶然にも13年前と同じ裁判官だった。「あなたと会うのは2回目です。今度、社会に戻るときは人の助けを借り、法廷で会うのは最後にしてください」。語り掛けられてもうつむいたまま。遠い耳には届いていなかった。
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男性の6割、女性は9割以上―。窃盗は刑法犯として検挙される高齢者に最も多い犯罪だ(犯罪白書)。若いころから繰り返してきた累犯もいれば、九州のある地方都市で暮らす70代女性のように、真面目に生きてきて、老いて初めて万引に手を染める人もいる。
4年前だったか、5年前だったか、はっきり覚えていない。自宅にこもり気味だった子どもが突然、家を出たころだった。捜しても見つからず「うわーっとなってしまって」。近所のスーパーで万引したが、何を盗んだかも思い出せない。
初犯で執行猶予が付き、高齢の親と2人で暮らすようになった。その親にも先立たれ、一人きりになって間もないころ、2度目の万引を犯した。特に欲しくもなかったあめ1袋だった。
高齢での初犯の4人に1人は単身者で、累犯となると8割近くに及ぶ。窃盗事件を長年担当した元捜査員は「認知症や盗癖に周囲から気付かれない人もいる。罪を犯して孤立を深め、また罪を繰り返す人が少なくない」と実感する。
女性は起訴猶予となり、1人の家に戻った。「負けた自分が一番悪い。反省の毎日です」。それでも買い物に出るときは、今も不安になる。また万引してしまうかも…。道すがら「つらいことがあるからこそ、しっかりしないと」と自分に言い聞かせる。寂しさに負けまいと思いながら。
検挙数、初の2割超え
法務省の2017年版犯罪白書によると、16年に刑法犯として検挙された65歳以上は4万6977人で、統計のある1973年以降、全世代に占める割合が初めて2割を超えた(20・8%)。犯罪の減少傾向が続く中、高齢者だけは20年前の3・7倍に増え、近年も高止まり状態が続く。
刑務所に入る高齢者も増えている。16年は2498人で20年前の4・8倍。全世代では2万467人と戦後最少を更新しただけに、高齢者の増加が際立つ。再犯が多いのも特徴で、15年に刑務所を出た高齢者のうち、4人に1人が2年以内に再び入所していた。
一方で軽犯罪が大半を占め、これまで動機を詳しく報じることは少なかった。なぜ罪を犯すのか―。連載で罪を犯す高齢者たちの姿を追い、高齢化する社会のグレーな断面を見つめる。
=2018/03/26 西日本新聞=
https://www.nishinippon.co.jp/sp/feature/gray_town/article/403755/
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