県警は、小型で持ち運びできる速度違反自動取り締まり装置(オービス)を初めて導入し、九日から運用を始めた。道幅の狭い通学路や違反車両を誘導して停止させるスペースのない場所でも取り締まりができるようになり、県警は事故抑止に期待を寄せる。

新たに約一千万円で導入したオービス一台はレーザーで速度違反を感知し、内蔵カメラで違反車両と運転手を撮影する。高速道路などに設置されるオービスと同じように、画像を基に違反者の手続きを進める。

高さ五十センチ、幅二十六センチ、奥行き四十センチの箱型。畳一畳分ほどのスペースがあれば設置でき、取り締まりのできる場所が広がる。

この日は午前七時ごろから、二月に小学二年の男児(8つ)が乗用車にはねられ死亡する事故があった佐久市で四十五分間設置した。取り締まりをしたのは道幅五メートルの通学路で、朝夕は国道の抜け道として多くの車が行き交うという。近所の男性(76)は「制限速度(の時速三十キロ)を守る車は少なく、普段から危ないと感じていた」と語り、取り締まりの効果を期待した。

幅五・五メートル以下の生活道路で起きた事故は昨年に千五百五十六件あり、事故全体の19・6%を占めた。県警交通指導課の大野宗彦課長補佐は「事故防止の一定の効果が得られると考えている。取り締まりの件数を増やすことだけが目的ではなく、一人一人が自主的に速度を落として運転をしてもらいたい」と話した。

このオービスは岐阜や富山、埼玉など少なくとも七県が既に導入している。県警は生活道路だけでなく、木曽町の国道19号など幹線道路でも活用するという。

2018年4月10日
中日新聞
http://www.chunichi.co.jp/article/nagano/20180410/CK2018041002000003.html