鹿児島県の奄美大島、加計呂麻島、請島、与路島などで、吸血害虫ヌカカに刺される被害が相次いでいる。3月末〜5月初旬が発生のピークとされ、住民や観光客は「蚊よりも悪質」「海に出掛ける気持ちもなくなる」と困った様子。駆除を求める声も上がっている。

 住民からの聞き取りや発生地域での体験取材によると、住民の間では服の中に潜り込んで吸血することから、「エッチ虫」「スベ」などと呼ばれている。体長は数ミリで気付きにくく、刺されると赤くなり、かゆみが長期間続く。頭髪や耳にも入り込むため、住民はこの時期の外出を控え、やむなく外出する場合は風呂敷などで頭を覆って歩いているという。

 加計呂麻島で子どもや自身も刺されてクリニックを受診したという母親は「刺されたら蚊よりもかゆくて大変。もう浜には行かないようにしている」、同島の80代女性は「スベ被害は昔は聞いたことがなく、ここ数年の事。虫除けスプレーや蚊取り線香も効果を感じない。駆除はできないのだろうか」と訴えた。

 鹿児島大学国際島嶼教育研究センターの大塚靖准教授によると、同地域で確認されているのはトクナガクロヌカカの亜種。海岸近くの砂中に生息し、成虫はその付近で吸血する。予防策として▽肌を露出させない▽忌避剤を使う▽耳に入ったら光に向かう習性があるため、光を当てる―などを挙げた。

 奄美和光園副園長の馬場まゆみ医師は「体は小さいがかゆみが強いのが特徴。刺されたら、薬局でかゆみを抑える効果が強い外用薬を使っていただくか、治りが悪いときには治療を受けてほしい」と話した。
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