日本触媒姫路製造所の爆発事故を巡り、神戸地裁であった20日の論告求刑公判では、現場で大やけどを負って一時意識不明となった姫路市消防局の消防司令補西川英明さん(42)が、被害者参加制度を使って意見を述べた。死を覚悟した恐怖や耐えがたい痛み、後遺症に苦しむ日々を語り、無罪を主張する被告らに「自分たちには責任がないとは言い張らないでほしい」と訴え掛けた。

 爆発時の熱風で吹き飛ばされた西川さんの体にはアクリル酸の炎が迫り、火の玉が降り注いだ。「私の人生は大きく変わった」。右耳は焼けて失われ、顔や背中、両腕、両脚などにやけどの痕が残る。顔の表情をつくるのが難しい。

 西川さんは「一生耐えなければならない」と声を振り絞り、「事故で失われたものの重大さを認めないといけない。ちゃんと事故と向き合うべきだ」と語気を強め、刑事責任を認めて謝罪するよう求めた。

 また、検察側は事故で亡くなった消防職員=当時(28)=の両親の陳述書を読み上げた。「消防に入り、毎日いきいきしていた」「優しい息子だった」としのび、「誰も責任をとらない結末はあってはならない。厳しく処罰してもらいたい」などと求めた。



神戸新聞NEXT 2018/4/21 06:50
https://www.kobe-np.co.jp/news/jiken/201804/0011183557.shtml