林野庁中部森林管理局は、ニホンジカの食害対策として、国有林の造林、治山などを請け負った事業体に対して捕獲などの協力を求める取り組みを始めた。全国初の試み。「くくりわな」の設置や見回りなどの協力を得て、ニホンジカの捕獲を増やし、森林被害の抑制につなげたい考えだ。

 同管理局管内(長野、岐阜、愛知、富山の4県)の国有・民有林では、植林したばかりの苗木や木の皮が鹿に食べられる被害が年々拡大。2016年度の被害面積は計310・5ヘクタールに上った。

 造林地を保護する防護柵を設置する一方、地元の猟友会と連携するなどして12年度以降、年間3000頭前後を捕獲してきた。しかし、捕獲従事者の減少や鹿の生息範囲拡大などで被害は増え続けている。

 造林や治山などの事業を実施した場所には鹿が集まる可能性があることから、森林組合や建設業者など請負事業体に捕獲の協力を要請することにした。

 具体的には、狩猟免許保有者がいる場合、事業を実施した場所周辺や通勤経路での「くくりわな」による捕獲、設置したわなの見回り・通報の協力を求める。4月から事業体にちらしを配布して、協力を要請している。

 同管理局の事業は総合評価落札方式を採用しているが、今後は事業体の捕獲などの取り組み実績を技術点の加点対象とすることも検討している。

2018年04月29日
日本農業新聞
https://www.agrinews.co.jp/p43945.html