譲渡される子犬
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 北九州市の犬と猫の致死処分数が大幅に減っている。

 かつては1年間に1800匹ほどが処分されていたが、昨年度は8匹にまで激減。市動物愛護センターで受け入れる数が減ったことや、譲渡会を開くなどして新たな飼い主を探す取り組みが効果を上げている。センターは「飼い主は、ペットが死ぬまで責任をもって世話することを忘れないでほしい」としている。

 4月中旬の土曜日。センターには40人以上の親子連れが集まった。犬の引き取りを希望した来場者は10組いたが、この日の譲渡数は3匹。抽選で当たった30歳代の女性は「家族で最期まで責任をもって養う」と笑顔を見せた。

 センターによると、2010〜12年度に同市で致死処分となった犬と猫は1891匹〜1415匹。その後、センターでの受け入れを有料化したほか、引き取りを希望する飼い主に「新たな飼い主を見つけるよう努力して」と要請するなどした結果、16年度は29匹、17年度は8匹にまで減った。

 センターが受け入れる数も11年度の計2073匹から16年度は653匹に減少。一方で毎年200匹前後だった新たな飼い主への無料譲渡は、500匹前後に増加した。

 転機は13年施行の改正動物愛護管理法だ。飼い主に最期まで適切に飼育する責務などが明記された。翌14年に市は「致死処分ゼロ」を目標に掲げ、飼い主へのマナーアップなど啓発を強化。獣医師会が行う犬猫の避妊手術への補助額を1匹あたり1万円にアップするなどしている。個別の譲渡だけでなく大規模な譲渡会にも取り組み始めた。

 一方で、近年は高齢者がペットを世話できなくなり、取り残されるケースも出ているという。センターの野田耕二・動物愛護推進担当係長は「これまでの取り組みで、多くのペットの命が救われた。4月から65歳以上の譲渡希望者には、飼育を引き継ぐ親族などの出席も求めるようにしている」と話している。(柿本高志)

2018年05月04日 13時25分
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