外国人観光客は、医療費は100%自己負担。


大好きな日本で背負った…1800万円の医療費 本当に怖い旅行中の病気
2017年09月04日
今年1月、東京・上野のアメヤ横町で、1人のタイ人女性が突然倒れました。「雪を見たい」と友人と来日したワンウィサ・ジャイジュンさん(28)。
専門家も「生存率は0.1%以下」とする重度の心臓病でした。

命を救ったのは、たまたま居合わせた消防士、高度な手術や治療を重ねた医師たち。
奇跡的に助かったワンウィサさんですが、1800万円を超える治療費を抱えてしまいました。

担当した心臓血管科の大井啓司医師は「かなり危険な状況だ」と顔をしかめます。
同僚の水野友裕医師が「80歳のお年寄りの血管かと思った」というほど、血管が弱っていました。

心臓の筋肉が死にかけていて全身に血液が回らない状態。さらに、不整脈も続けて発生。
専門家によると、このような状態から健康体に快復する可能性は0.1%以下といいます。

ワンウィサさんは旅行保険に入っていませんでした。
高度な手術を重ねれば、治療費は多額になる。それでも大井医師らは「目の前の患者を助けないわけにはいかない」と、治療を決断しました。
「結果的に、すべてのタイミングがよかった」と水野医師は振り返ります。

「娘は元気になった。でも、どうやってお金を工面すればいいのやら……」。母親のスープンさんは視線を落としました。

総治療費は約1800万円。友人らの呼びかけで、タイ国内で50万バーツの募金が集まりましたが、
在日タイ大使館が立て替えてくれた800万円分を含め、1600万円余りが不足しています。

1800万円は、単純に計算すると15年分になります。一般的な家庭のワンウィサさんたちに、簡単に払える額ではありません。

在日タイ大使館によると、タイ人の日本への旅行客の9割が旅行保険に入っていないといいます。
所得が増えた中流階級が続々と旅行に出かける一方、旅費を安く抑えたいという思いから、掛け捨ての保険には入らない人が多いようです。

https://withnews.jp/article/f0170904000qq000000000000000W06s10101qq000015798A