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 横浜市の臨海部エリアの新たな交通手段として、市がロープウェーや、港と川を利用した小型船による水上交通システムなどの導入に向け民間事業者と協議を始めたことがわかった。

 ロープウェーは横浜駅(西区)前から港の見える丘公園(中区)までの海沿い中心と、桜木町駅(同)のエリアの2ルートで、景観を楽しみながら移動できる交通網を整備することで、市は観光客のさらなる増加につなげたい考えだ。

 臨海部には現在、主な交通機関としてJR線、みなとみらい線、市営地下鉄、バスがある。市は昨年10月、横浜の街並みや海を眺めながら移動できる交通システムの提案を民間事業者から募集し、11団体からの応募があった。検討した結果、横浜港振興協会や横浜港運協会などのグループ、京急電鉄、神奈川トヨタ自動車など9団体の提案は実現性があると判断。今年に入って包括連携協定を順次結び、具体的な協議を始めた。

 約6キロのロープウェーを提案したのは横浜港振興協会などのグループで、横浜駅前から横浜市中央卸売市場や大さん橋・山下ふ頭を経て港の見える丘公園までを結ぶ。もう一つは、みなとみらい地区の観覧車などを運営している泉陽興業が提案し、桜木町駅前から横浜赤レンガ倉庫のある新港ふ頭(中区)までの約600メートルだ。

 空中交通が実現すれば、1989年の横浜博覧会でゴンドラ式ロープウェーが運行されて以来。このロープウェーは、横浜駅東口からみなとみらい地区の会場までの約800メートルを結び、約半年の運行期間中に約300万人が利用した。市は空中交通は観光資源にもなると見込んでいる。

 このほか提案されたのは、▽横浜港内のふ頭や川を利用した水上交通▽横浜ベイブリッジから三渓園まで歩くことができる遊歩道の整備▽水上飛行機やヘリコプター▽海岸線を中心に回遊する屋根なしの「オープントップバス」――など。さらに、人工知能(AI)を活用した車両の乗り合いなど新しいシステムの提案もあった。

 いずれの事業も、整備や運営は事業者側が負担し、市は地元関係者との調整や土地の貸し出しなどの面で協力する。今後協議を進め、一部の事業は、早ければ2020年の東京五輪までに運用を始める見通し。関係者は「観光客が訪れるたびに変化する街並みを楽しみにして、横浜のリピーターになってくれるのではないか」と期待する。

2018年05月24日 16時53分
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