■執行猶予4年付く

 偽造した書籍代の領収書を使い政務活動費をだまし取ったとして、詐欺罪に問われた元県議会副議長の矢後肇被告(58)=高岡市醍醐、会社役員=に対し、富山地裁は24日、懲役1年6月、執行猶予4年(求刑懲役1年6月)の判決を言い渡した。

 大村泰平裁判官は、起訴内容にある全被害額約362万円を被告がだまし取ったと認定。動機について「政活費は議員に与えられた特権で、返すのがもったいないと考えた」と指摘した。領収書と収支報告書を提出しさえすれば政活費返還を免れるという制度の隙に付け込んだ巧妙な犯行だとし、「県民の県政に対する信頼を大きく揺るがし、強い非難は免れない」と断じた。

 一方で被告が、時効成立分や利息分も含め、起訴内容にある被害額を上回る562万円を県に返還していることや、議員を辞職していること、社会的制裁を受けていることなどから、執行猶予を付けたとした。

 判決によると、被告は実際は購入していない書籍を南砺市の書店で買ったとする架空の領収書を利用し、2012年5月から15年4月にかけ、11〜14年度分の政活費約362万円をだまし取った。

 県議や富山市議ら計18人が辞職した一連の政活費不正で、刑事裁判の判決が出たのは初めて。

2018年05月24日 11:29
北日本新聞
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