http://www3.nhk.or.jp/lnews/kumamoto/20180525/5000002348.html

05月25日 18時20分
熊本空港は熊本県の内陸部にあり、周囲には田畑や住宅、ゴルフ場などがあります。

国土交通省によりますと、熊本空港には北東から南西方向に長さ3000メートルの滑走路が1本設置されていて、出発機は風向きによって北東向きか南西向きに離陸するということです。

トラブルを起こした機体は、24日午後3時52分に熊本空港を北東向きに離陸して、空港周辺で左回りに旋回しながら高度を上げ、空港の北西から南向きに飛行していたとみられます。

しかし離陸から3分後、空港の西およそ9キロの地点にさしかかったとき、高度およそ1800メートルでエンジンの異常な振動や温度の上昇などを知らせる表示が出たため、パイロットは緊急事態を宣言して空港に引き返し、午後4時17分に滑走路の南西側から着陸したということです。

国土交通省によりますと、空港周辺では24日から25日にかけて、建物や車への被害の情報や落下物を見つけたという情報があわせて23件寄せられ、このうち建物や車への被害は5つの場所で確認されています。

またこれまでに回収された金属片は、5ミリから8センチの大きさまで98個に上っているということです。

落下物は、空港の南西およそ7キロにある半径300メートルほどの範囲に集中しているということです。

国土交通省などは、エンジントラブルで飛び散った部品が風で流されるなどしながら落下したとみて情報収集を進めています。

日本航空の元機長で航空評論家の小林宏之さんは、今回のトラブルの原因について「エンジンに異物が混入したか、エンジンの部品自体が劣化したり取り付けが緩んだりして損壊した可能性が考えられる」と話しています。

離陸直後にトラブルが発生していることについて「離陸時はエンジンの出力が最も上がり、ブレードなどの部品にも大きな不可がかかるためトラブルが起きやすい」と指摘しています。

また、今回のトラブルで金属片が住宅地に落下したことについて「航空機の金属片は堅く重いため、人に当たると非常に危険だ。エンジンの燃焼によってかなりの高温になっていて、落ちた場所から発火したり手で触るとやけどをしたりする危険性があるため、見つけても触れないようにすべきだ」と述べました。

その上で「航空会社は今まで以上に徹底した点検整備が求められる」と話しています。