◆司法取引、1日開始=捜査協力で処分軽減―虚偽供述に懸念も

容疑者や被告が他人の犯罪に関わる情報を検察官に提供すれば、不起訴や軽い求刑などの見返りを得られる「司法取引」(政府名称「合意制度」)が6月1日、始まった。
組織犯罪の解明に役立つと期待される一方、虚偽供述で無関係の人が巻き込まれる懸念もあり、最高検は裏付け捜査の徹底など慎重な運用方針を示している。

司法取引は、詐欺や脱税、談合などの経済事件や薬物銃器犯罪が対象。
検察官が許可すれば、警察官も取引に関与できる。
虚偽供述や偽造証拠の提出には5年以下の懲役が科される。

自分の犯罪行為に関する情報ではなく、他人の犯罪解明につながる情報に対し見返りを与える点が特徴。
導入済みの米国などの仕組みと異なり、「日本版司法取引」と呼ばれる。

取引する場合、検察官は弁護人同席の下、容疑者らと協議。
捜査協力と見返りの内容で双方が合意すれば成立する。
取引を行った事実の公表義務はないが、捜査協力で起訴された他人の公判に、協力した容疑者らが証人出廷するなどすれば、明らかになる可能性がある。

司法取引と同時に、裁判所が証人に対し、罪に問われかねない発言をしても免責することを約束した上で、証言を強いることができる制度も開始。
逮捕後の勾留段階から国選弁護人を付けられる事件も、重大事件から全事件に拡大された。 

時事通信 2018/6/1(金) 0:08
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018053100740&;g=soc