スリランカ人男性(58)が難民認定を求めた訴訟で、国は19日までに、男性が勝訴した東京地裁判決を不服として東京高裁に控訴した。男性は難民認定を求めた別の訴訟で2011年に勝訴が確定後、国から再び不認定処分を受け、改めて提訴。5日の判決で地裁は「男性は難民に該当する」と判断したが、法務省側は引き続き争うという。

 この男性は少数派のタミル人で、06年にスリランカを出国。政府軍と内戦をしていた反政府武装勢力「タミル・イーラム解放の虎(LTTE)」との関係を疑われているとして難民認定を申請した。国の不認定処分を不服として訴訟を起こし、大阪地裁は11年3月に不認定を取り消す判決を出した。この判決は確定したが、国は同年12月に「スリランカの情勢が好転した」として男性の難民申請を改めて不認定としたため、男性は再び訴訟を起こしていた。

 東京地裁は5日の判決で、スリランカの情勢について検討。09年5月に内戦が終結したものの、11年12月の時点でも「LTTEとの関係が疑われるタミル人は、政府に拘束される危険があった」と指摘し、男性が難民にあたると認めた。


朝日新聞DEGITAL 2018年7月19日22時31分
https://www.asahi.com/articles/ASL7M3JH8L7MUTIL017.html