◆今年は沖縄が“避暑地”? 那覇と熊谷で10度の差 真夏の逆転現象

7月。沖縄は観光のトップシーズンに入り、国際通りやビーチには多くの観光客が訪れ、夏を楽しむ姿が見られる。
全国的に猛暑を超えた「酷暑」と表現される今夏だが、埼玉県熊谷市で41.1度を記録したというニュースが流れた23日午後2時23分ごろ、那覇市は30.4度で、実に10度以上の気温差があった。

ネットでは「沖縄が避暑地」「沖縄の方が涼しい」という書き込みが散見される。
真夏の逆転現象≠フ背景を探った。

■平年に比べて沖縄の気温は低め

沖縄気象台によると、沖縄は梅雨明け以降、台風や湿った空気の影響で曇りや雨の日が多かったという。
7月1〜20日の間、降水量は平年比539%で、平年を大きく上回った。
平均気温は平年を0.7度下回り、日照時間も平年比で78%にとどまったことも、沖縄が涼しく感じた要因だ。

一方で、本土では35度を超える猛暑日が続いた。
「太平洋高気圧とチベット高気圧に覆われて、暖かく乾いた空気が滞留し、気温が上がった。沖縄は気温が低く、本土が高いという現象が起きた」

沖縄気象台は「そもそも、沖縄は35度を超えるような高温にはならない地域。
本土に比べて直射日光は強いが、風通しがよく、涼しく感じやすい」と説明する。

■那覇の猛暑日は108年間で14日だけ

観測データが残る1910年から2018年の108年間で、那覇で猛暑日となる最高気温が35度を超えたのは、1916年に8日、2017年に2日などの合計14日しかない。
東京都千代田区は1875年から2018年の143年間で、猛暑日が年間10日を超えたのは4回あった。

2010年、1995年が各13回、2013年に12回、15年は11回に上った。
猛暑日は沖縄よりも東京のほうがはるかに多いのだ。

沖縄気象台は「沖縄は海に囲まれた島国。海風があるため、熱い空気がたまらず、35度を超えるのはまれ。
一方で、本土は盆地などがあり、空気がたまりやすい。風が弱いと気温が上がってしまう」と話した。

■今後3カ月、沖縄は晴れ間が多い

沖縄気象台は8月から10月にかけて、沖縄の気温はほぼ平年並みで、降水量は平年並みか少ないと予想している。
ちなみに那覇市の8月の平年気温は28.7度、9月は27.6度、10月は25.2度だ。

一方で気になるのが台風だ。
沖縄はことし、平年より台風の発生数も接近数も多い。

6月7日の台風5号の発生以降、7月25日現在までに5個の台風が接近。
平年だと、台風12号が発生するのは8月が最も多いが、今年は7月25日にも発生した。

沖縄気象台は「フィリピンの東海上の海水温が高く、次々と熱帯低気圧が発生している。
しばらく台風が発生する続く恐れはあるが、沖縄周辺の海水温は低いため、大きな台風には発達しない」と見ている。

一方、台風12号が27日にも小笠原地方近海に近づく恐れがある。
沖縄気象台は「台風が近づけば、本州の気温が下がる可能性があるが、まだ台風の位置が遠いので分からない。
海水がかき混ぜられれば、風で気温が低くなる可能性はある」と話した。

沖縄タイムス 2018年7月25日 16:50
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/288851