https://www.mbs.jp/news/sp/kansainews/20180806/GE000000000000023807.shtml

那智勝浦のホテル火災…リニューアルも「既存不適格」か
更新:2018/08/06 19:21

 5日夜、和歌山県那智勝浦町のホテルで火事があり宿泊客300人以上が避難しました。ホテルは倒産した老舗の旅館が大手チェーンの「湯快リゾート」として生まれ変わっていたんですが、建物は古いものがそのまま使われ、防火に関する現在の法律を満たしていない状態だったことがわかりました。

 炎と煙を上げ激しく燃え上がる建物。火事があったのは那智勝浦町にある「湯快リゾート・越之湯」で、5日夜7時ごろ旧館2階の女子トイレから煙が出ていると通報がありました。

 「(出火当時は)食事してて、焼き肉だったんですけど、煙の量が多いなと話してて、辺りが白くなってきたんで『おかしくない?』と言ってたら避難ベルが鳴って、スタッフの方が『避難してください』と」(宿泊客)

 当時、ホテルはほぼ満室で宿泊客324人は避難し、手配された近隣のホテルに移りましたが、20代の女性1人が体調不良を訴え病院に運ばれました。火は近くの山にまで延焼し出火から14時間経ってようやく消し止められましたが、ホテルの旧館2棟がほぼ全焼したということです。

 「発生当時はお風呂に入っていたので、部屋にいた子どもたちを呼びに行って、すぐ外に避難した(Q.部屋に置いてきた荷物は?)もう全部ですね。財布も携帯も車のカギも服も飲み物も全部」(避難した人)

 このホテルはもともと大正時代に開業し、昭和天皇も宿泊された老舗の温泉旅館でした。しかし、経営難で2002年に倒産し施設は荒れ放題に。見るも無残な状態となっていたのですが、それを生まれ変わらせたのが「湯快リゾート」でした。各地で廃業した旅館を買収し、1泊2食付き7500円からという格安料金の人気ホテルに再生。「再生請負人」として、今では28もの施設を運営する大手チェーンとなっています。

 「阪神大震災で木造の建物を直した職人さんに来てもらって、基本的には解体せずに、このままの状態で使用できると」(湯快リゾート 2005年当時の担当者)

 旅館再生のポイントは「使える所は残す」ことだといい「越之湯」でも傾いていた建物を水平に戻しそのまま使用するなど、老舗の雰囲気を残す形で生まれ変わらせていました。ところが…今月1日、再度リニューアルオープンした矢先の火災。火は瞬く間に建物全体へと燃え広がりました。消防や和歌山県によれば、スプリンクラーなどの防火設備は整っていたものの、建物は法律上の「耐火建築物」の条件を満たしていない「既存不適格」と呼ばれる状態だったといいます。

 古い建物を大規模修繕する場合は、現在の法律を満たすよう間仕切りを増やすなどの工事が必要になりますが、「湯快リゾート」はリニューアルにあたり大規模修繕の届出を出していませんでした。あくまで小規模な修繕として届け出ていたとみられます。警察と消防は6日朝から現場検証を行い出火原因を調べていて、湯快リゾートは「再発防止に向けて安全管理を徹底してまいります」とコメントしています。

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