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トルコの通貨急落 市民生活に影響も
2018年8月19日 4時35分

アメリカとの対立を深めるトルコの通貨リラが急落して先週には、世界的な株安をもたらし、動揺が広がっています。トルコの国内では、通貨安が市民生活に影響を及ぼしています。

トルコが拘束しているアメリカ人の牧師の解放をめぐって同盟国でありながら対立を深めるトルコとアメリカ。鉄鋼製品や自動車の関税を互いに引き上げて制裁を科しあう異常事態になり、トルコの通貨リラはことしのはじめに比べ、一時、ドルに対して40%以上も値下がりしました。

通貨リラの急落は世界に動揺をもたらし、先週は世界各国の株価が下落。先行きを懸念した大手の格付け会社も相次いでトルコの国債の信用度を示す格付けを引き下げました。

通貨安は、トルコの市民生活にもすでに打撃を及ぼしています。その一つが、コーヒーの粉を煮出してつくる名物のトルココーヒーです。

使われるコーヒー豆は、輸入に頼っているため通貨安で豆の仕入れ値が急騰しています。イスタンブールのコーヒー問屋では、3週間前に比べて仕入れ値が1.5倍に跳ね上がったということです。販売価格をすでに25%引き上げましたが、それでは足りず、やむを得ず追加で値上げすることを決めています。

コーヒー問屋の店主の男性は「豆はドルで買ってトルコリラで売るので、値段が変動します。値上げを余儀なくされるのは悲しく、残念なことです」と話していました。

食品や日用品の値上がりも進んでいます。トルコはもともと、年率15%を超えるインフレが続いていますが、通貨安で輸入品の物価上昇に拍車がかかると市民は身構えています。

イスタンブールで暮らすギュレルさん(68)の家では、この1年で食費がおよそ2倍に跳ね上がり、家計の切り盛りに苦労しているといいます。

ギュレルさんは「とても苦しくなりました。トルコのお金が溶けて消えてしまったんです。身の丈に合わせて暮らすしかありません。きっとよくなるという希望がほしいです」と話していました。