◆JOLED 有機ELの量産化加速 デンソーなどから470億円調達

パナソニックとソニーの有機EL事業を統合したJOLED(ジェイオーレッド)が平成32年の中小型有機ELパネルの量産化に向けた対応を急いでいる。
23日にはデンソーや住友化学など4社を引受先とする第三者割当増資で約470億円を調達したと発表。

さらにテレビ向けでパナソニック子会社などとの提携も発表した。
JOLEDは量産に向けた態勢を万全に整えて、韓国勢などとの熾(し)烈(れつ)な販売競争を勝ち抜く考え。

約470億円の第三者割当増資のうちデンソーが300億円、豊田通商が100億円、住友化学が50億円、半導体製造装置のSCREENホールディングス(HD)が20億円を引き受けた。
JOLEDは車載用やパソコンに使う中小型パネルの開発や生産態勢の強化に向け1千億円の増資計画を表明しており、今回の増資はその一環だ。

JOLEDは印刷方式による有機ELパネルを世界で初めて実用化。
32年の量産開始に向け筆頭株主の産業革新機構から200億円の出資を受けジャパンディスプレイの旧能美工場(石川県能美市)を7月に取得して、新設備導入の準備を進めている。

今回出資を受けたデンソーと豊田通商はトヨタ自動車グループの中核を担う部品メーカーと商社。
車載向けディスプレーの開発を強化するとともに、販売拡大につなげる狙いがある。

一方、JOLEDは、中型の有機ELパネルに投資を集中するため、大型投資が必要になるテレビ向けの大型パネルの生産は手がけず、製造技術の外販に乗り出すことも決めた。
まずパナソニックとSCREENHDそれぞれの子会社と提携し、JOLEDの技術をライセンス販売する。

JOLEDはノウハウや特許の販売でライセンス収入を得て、その分の利益を中小型パネルの新技術開発や能力増強投資に充て、中小型の競争力を磨く考えという。
中小型有機ELパネルは「蒸着」と呼ばれる方式を採用する韓国勢が圧倒的だが、JOLEDは、高価な設備が不要で、蒸着式よりコストが安い印刷式を武器にシェアを高める計画だ。

産経ニュース 2018.8.23 20:37
http://www.sankei.com/economy/news/180823/ecn1808230027-n1.html