桜川市の砕石場爆発事故で、発破作業を担っていた行方不明の男性従業員(32)は28日までの捜索で発見に至らなかった。県警などによると、爆発したのは「硝安油剤(アンホ)爆薬」と「含水爆薬」という2種類の爆薬で、爆薬庫には少なくとも計1トンの爆薬があったとみられる。この爆薬の扱いについて専門家は自然発火や誤爆の可能性が著しく低いと指摘し、「ある程度の衝撃でも反応することはない」と話す。

捜査関係者によると、爆発により、爆薬庫の下の地面は約1メートルの深さでえぐれていた。トラックの残骸から50メートルほど離れた場所に後輪の一部があった。半径500メートルの範囲で建物などに被害が出た状況から、爆発の威力は「1トン爆弾」ほどと指摘する声もある。1トン爆弾は太平洋戦争時、米軍が日立市の軍需工場などを狙って投下した爆弾として知られる。

約35年間、発破作業などに携わった県内の60代男性によると、2種類の爆薬はダイナマイトと比べ、衝撃や高温にも耐性が強い。一般的に岩盤などを発破する場合、岩盤に穴を開け、爆薬を流し込む。その上に電流を流すための電気雷管をつないだ「親ダイ」と呼ばれる爆薬を備え付けて発破することが多いという。発破作業は「親ダイ」を起爆させ、その力を利用して、爆薬を爆発させる。

今回の爆発は、火薬庫付近で発生したとみられる。男性によると、保安上、雷管は必ず専用の箱で保管して持ち運ぶ。「親ダイ」と電気雷管を「火薬庫でつなぐことはしない」と話す。

男性は現段階で「なぜ事故が発生したのか見当がつかない」とした上で、「発破するための十分な装置が備わっていないと考えられる火薬庫付近で、誤爆や誘爆が発生するのは考えにくい」と指摘する。


8/30(木) 4:07配信 茨城新聞クロスアイ
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180830-00000001-ibaraki-l08

爆発のあった砕石場から上がる黒煙=23日、桜川市内(読者提供)
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