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 法務省は31日、今年1〜6月に5586人の外国人が日本で難民申請し、前年同期比から2975人減ったと発表した。難民申請者は2011年から毎年増加していたが、8年ぶりに減少に転じた。同省は、今年1月から審査の手順を変え、審査を待つ間の就労を制限する運用を始めたことが影響したとみている。

 発表によると、同じ時期に6375人の難民認定申請を処理し、前年同期比で1875人増えた。難民として認定されたのは20人(前年同期2人)だった。

 法務省は10年3月以降、留学生や技能実習生などとして入国した外国人が難民申請をした場合、申請から6カ月がたってからは就労を認めており、これを受ける形で難民申請をする人が急増。10年は1202人だったが、17年には1万9629人になった。このため、今年1月からは申請から2カ月以内に書面審査を進め、「明らかに難民に該当しない」と判断した人らは就労を認めない運用を始めた。

 法務省は運用変更の狙いについて「日本では、(申請後の)審査中なら働ける」という認識を打ち消し、長期化している審査期間を縮めるためとしている。申請者の減少は「就労を目的とした人による乱用的な申請が減ったため」とみている。

 これに対し、全国難民弁護団連絡会議代表の渡辺彰悟弁護士は「法務省は難民の保護ではなく、申請を減らすことだけに注力している。制度の運用が厳しくなったことで、難民認定されるべき人も振り落とされ、強制送還の危機にさらされている」と語る。難民認定が20人だった点についても「世界的な認定率と比べて日本は非常に低い。この状況こそ改善するべきだ」と訴えた。(浦野直樹、小林孝也)