中1男女殺害事件 黙秘の被告 “自分が2人を死なせた”と説明
2018年10月12日 12時08分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181012/k10011668801000.html

3年前、大阪 寝屋川市の中学1年生の男女が殺害された事件で、殺人の罪に問われている被告が来月の初公判を前に拘置所で取材に応じました。被告は取り調べに黙秘を続けてきましたが、取材に対し、自分が2人を死なせたと説明したうえで、殺すつもりはなかったと主張しました。
平成27年8月に大阪 寝屋川市の中学1年生、平田奈津美さん(13)と同級生の星野凌斗さん(12)が遺体で見つかり、契約社員だった山田浩二被告(48)が2人を殺害した殺人の罪に問われています。

この事件の裁判員裁判が来月1日から始まりますが、被告はこれまでの取り調べに黙秘を続けています。

山田被告はことし8月以降、NHKの取材に応じ、大阪拘置所での7回にわたる面会や手紙のやり取りを通じて現在の心境や事件について初めて言及しました。

被告は「私が事件に関与したのは事実です」と述べ、記者が「2人ともあなたが死なせたのか」と質問したのに対し、「はい。2人です」と答えました。そのうえで2人は結果的に亡くなったが、殺すつもりはなかったと主張しました。

一方で、記者が詳しい経緯を聞くと、「あの日はいろいろな出来事が起きた」とだけ述べて、説明を拒みました。

山田被告は弁護士の指示で黙秘していると説明し、世の中に黙秘する権利が理解されず、ひきょうな人間だと思われているのであれば、不本意だという考えも示しました。

法廷では亡くなった2人や遺族に謝罪したいという気持ちもあると話し、黙秘するかどうかも含めて裁判にどのように臨むかは弁護士と相談すると説明しました。

事件の経緯
平成27年8月13日、大阪 高槻市の運送会社の駐車場で、寝屋川市の中学1年生、平田奈津美さん(当時13)が遺体で見つかりました。

平田さんは、胴体や腕などに刃物で切られたような傷が30か所以上あり、粘着テープで顔全体を巻かれ、手も縛られていました。

さらに平田さんと一緒に行動していた同級生の星野凌斗さん(当時12)の行方がわからなくなっていることもわかりました。

平田さんが遺体で見つかった8日後、警察は、2人が最後に目撃された場所の防犯カメラの映像に映っていた不審な車から山田浩二被告(48)を割り出し、平田さんの遺体を遺棄した疑いで逮捕。山田被告が逮捕前に車で立ち寄った大阪 柏原市の竹林で星野さんも遺体となって見つかりました。

山田被告は逮捕直後、警察の取り調べに対し、「声をかけて車に連れ込んだのは私で、同乗者が後部座席で女の子を殴り、私が知らない間に死んでいた。同乗者の名前は言いたくない」などと供述しました。しかし、その後は黙秘するようになり、事件への関与があったのかどうか口を閉ざしました。

これに対し検察は、山田被告が単独で2人を殺害したとみて、殺人の罪で起訴しました。

来月1日に初公判
山田被告の裁判員裁判は来月1日に初公判が開かれる予定で判決は12月19日に言い渡される見通しです。

警察や検察のこれまでの捜査では、犯人を特定する直接的な証拠は得られていません。事件の経緯はほとんど解明されておらず星野さんについては殺害の方法もわかっていません。

このため裁判では犯人が山田被告なのかどうかや、殺人の罪にあたるのかどうかなどが審理されるものとみられます。

検察は遺体に巻かれていた粘着テープが、事件当日に山田被告が購入したものと同じとみられることなどの状況証拠を積み重ねて立証しようとする方針です。