築地市場(東京都中央区)から移転した豊洲市場(江東区)が開業して初の週末を迎えた13日、一般客の見学が始まった。市場内の飲食・物販両店も利用可能になった。東京都によると、午前10時の開始から終了1時間前の午後4時までに、家族連れや外国人観光客ら約4万人が来場。市場関係者は「予想以上の人出だ」とホッとした様子を見せた。

 青果棟1階に移った「大和寿司」の真新しい店舗にできた行列は、午前10時から約1時間で60人以上に膨らんだ。移転前から築地市場内で屈指の行列店として知られており、この日も最大2時間待ち。従業員の男性は「店の前が広くなり待機列を整理しやすくなった。常連さんも変わらず足を運んでくれたので、このにぎわいが続いてほしい」と慌ただしく接客に追われた。

 築地では競り場の間近で見学できたが、豊洲は見学者コースが設けられ、ガラス越しに見ることになった。水産仲卸売場棟にある見学コースでは、売り場の様子をのぞき込む家族連れや、通路に展示された運搬車「ターレ」に乗り記念撮影する外国人観光客の姿が見られた。埼玉県蕨市から訪れた会社員の男性(53)は「こんなににぎわっているとは。築地の歴史的な魅力も豊洲の近代的な魅力も素敵だと思う」と声を弾ませた。

 この日午後4時までの来場者数は4万人超。これは大阪市の人気テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」の1日平均来場者数にも匹敵する規模とみられる。築地に比べ、利用できる公共交通網が少なく、集客が不安視されたが、それを打ち消すスタートになった。

 一方で、観光客からは「ガラス越しの見学で臨場感がなくなったのは残念」との声も上がった。

 14日は休場し、15日以降は午前5時から見学できる。築地で人気だったマグロの競りは見学者コースから見られるが、間近で見られる専用デッキでの見学は繁忙期を避けるため来年1月15日から。紆余(うよ)曲折を経て、「世界一の市場」構築へ本格的に動きだした。

 ▽行かれる方へ 新橋と豊洲を結ぶ新交通システム「ゆりかもめ」で最寄り駅は「市場前」。始発便は午前5時台から。同時刻には新橋からの直通バスも新設された。築地市場と同じく一般客向けの専用駐車場はない。JR東京駅からタクシーで約20分(約2000円)。休場日は日曜、祝日。水曜が臨時休場日に設定されていることが多い。

2018年10月14日 05:30
スポニチ
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