高校の警備員だった男性(当時68)が勤務中に急性心筋梗塞(こうそく)を発症し、死亡したのは、長時間労働による過労が原因だったとして、
男性の妻が東京労働局渋谷労働基準監督署に労災申請した。遺族と代理人弁護士が17日に記者会見して明らかにした。

 男性はグローブシップ警備(東京)の契約社員として、4年ほど前から東京都世田谷区の私立高校の警備業務をしていたが、今年2月7日の夜勤中に倒れ、
4月2日に亡くなった。

 代理人によると、男性の勤務は「夜勤・全日」「日勤早出」「宿直早出」の3パターンで、いずれの日も終業時刻は翌日午前8時半だった。昨年9月からは
3人交代から2人交代勤務になり、残業時間は多い月で130時間を超えていた。休日もほとんど取れず、発症前1カ月間は22日連続で勤務し、
3日連続で帰宅できない時もあった。

 同社は「労基署が審議中の事案であり、コメントは控える」としている。

 代理人の川人博弁護士は「警備や運輸など人手不足の業界で働く高齢者が増え、過重労働の相談も多い。高齢な働き手に配慮した労働環境の整備が必要だ」
と語った。

朝日新聞社

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181017-00000082-asahi-soci

別ソース

●保護者の電話連絡も警備員が対応

男性は、渡辺治さん(さいたま市大宮区)。2006年1月に警備会社「グローブシップ警備」(東京都中央区)に有期雇用の契約社員として入り、
約4年前から東京都世田谷区内の私立高校で警備業務をしてきた。通勤時間は片道2時間半ほどだったが、「年金の足しに」と懸命に働いていたという。

夜間勤務中だった2018年2月7日午前2時半ごろ、急性心筋梗塞を発症し、「息が苦しい」と家族に電話して救急車を呼ぶことを求めた。その後、
搬送され入院治療を受けていたが、ほとんど意識が戻ることはなく、4月2日に亡くなった。

私立高校では、もともと渡辺さんを含む3人が交代で勤務する形態だったが、2017年8月末でうち1人が休職となったため、それ以降は2人で交代しながら
警備業務をする形態になった。業務負担は重く、1日の労働時間が20時間を超えることも。教員不在時に保護者が電話で伝えてくる「生徒の遅刻・欠席連絡」
など、本来は学校職員が担当すべき業務についても担っていたという。

●倒れる前の1カ月間、「連続22日勤務」

代理人が渡辺さんの労働時間を集計したところ、急性心筋梗塞が発症する前の1カ月間は「連続22日勤務」、その前の1カ月間には「連続16日勤務」、
さらにその前の1カ月前には「連続20日勤務」だったことがわかった。

渡辺さんは再三、警備人員の増員を勤務先に求めたが、「適材人員がいない」と断られ続けたという。代理人の田中美和子弁護士は「今では会社は配置を
4人に増やしている。いかに2人で回すのが過酷だったかわかると思う。他にも過酷な労働環境にいる方は相当数いるだろう。高齢者に配慮なく
過重労働を課すのはすみやかに是正しないといけない」と話した。

弁護士ドットコム
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181017-00008704-bengocom-soci