世界に衝撃を与えた日産自動車、カルロス・ゴーン前会長の逮捕。前会長らの主張が明らかになり、検察側と全面的に対決する構図が鮮明になっています。

日産自動車の会長だったカルロス・ゴーン容疑者(64)は、有価証券報告書にみずからの報酬を少なく記載していたとして、金融商品取引法違反の疑いで逮捕され、東京地検特捜部は報告書に記載していない報酬は直近の3年間も含む8年間でおよそ80億円に上るとみて捜査を進めています。

関係者によりますと、ゴーン前会長は1億円以上の役員報酬の開示が義務づけられた平成22年以降、20億円程度だった報酬を報告書には10億円程度と記載し、差額は退任後に受け取ることで会社側と合意していたということです。

そして退任後にさまざまな名目でおよそ80億円の報酬を支払う計画が立てられ、前代表取締役のグレッグ・ケリー容疑者(62)など、ごく一部の側近だけで共有していた疑いがあるということです。

これについてゴーン前会長は特捜部の調べに対し、退任後に報酬を受け取る計画にしていた一連の経緯については大筋で認めたうえで、その理由について「10年前のリーマンショックで日産の業績が下がったことがきっかけで、多額の報酬が開示されれば従業員の働く意欲がなくなると思った」などと説明しているということです。

一方、主張が対立しているのは、退任後に受け取る報酬を有価証券報告書に記載する必要があったかどうかです。

金融商品取引法などでは、将来支払われる退職後の報酬でも、その見込みの金額が明らかになった段階で報告書に記載する必要があるとしています。

特捜部はゴーン前会長が毎年の報酬を20億円程度とし、10億円程度の差額を退任後に受け取るとした文書を毎年、会社側と取り交わしていたことや、ゴーン前会長に個別の役員報酬を決める権限があったことなどを重視し、退任後の報酬であっても将来支払われることが「確定」した報酬で、報告書に記載する必要があったとみています。

これに対しゴーン前会長は「文書にはサインをしていない」としたうえで、「合法的に進めてくれと弁護士でもあるケリー前代表取締役に頼んで決めたことで、『合法です』という回答も得ていた」などと容疑を否認し、退任後に報酬が支払われることは「確定」していなかったと主張しているということです。

またケリー前代表取締役も「退任後の報酬の記載は金融庁や外部の弁護士にも確認して回答を得ており適切に処理した」などと説明し容疑を否認しているということで、検察側とゴーン前会長側が全面的に対決する構図になっています。

■東京地検「必要ないのに長期間拘束の意図なし」

東京地方検察庁の29日の定例会見には多くの海外メディアも参加し、「逮捕されたゴーン前会長らの身柄の拘束が長期間に及んでいることに批判が出ている」という質問が出されました。

これについて東京地検の久木元伸次席検事は「勾留は裁判所の令状に基づいて行っているもので必要性もないのに長期間の拘束しようという意図はない。国にはそれぞれの歴史と文化、制度があり、ほかの国と制度が違うからといって簡単に批判するのはいかがかなものかと思う」などと述べました。

またゴーン前会長とケリー前代表取締役の取り調べについてはDVDに録音・録画されていることを明らかにしたうえで「取り調べは適切に行っていると確信している。英語の通訳を介し、意思疎通は明確にできていると聞いている」と述べました。

2018年11月29日 18時43分
NHK NEWS WEB
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181129/k10011728291000.html
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181129/K10011728291_1811291744_1811291745_01_03.jpg

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